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或る幽霊の噺。

[334] aika 2011-05-10投稿
・・・あれ、なんか足元に転がってる。
なんだこれ。
ああ、そうか。




自分の、死体だ。




教室に入る。誰も俺を見ない。
そりゃそうだ。今の俺は所謂幽霊だ。
昨日まで俺のだった机には花が置かれ、クラスメート達がそれを囲むようにして集まっている。

・・・ちょっと、あんたら。何て顔してんのさ。
皆すっかり暗い顔しちゃって。
死んだら死んだでその後が大変だな・・・。

なんか沈んできた。

もういいや。さっさと成仏しちゃえ。
いつまでもさまよっててもしょうがないしね。

あ、その前に家に寄ってこうかな。
部屋にある恥ずかしい日記、処分しとかないと。


・・・俺を待っていたのは、意外な光景。
あの親父が泣くなんて、天地ひっくり返ってもないと思ってたのになぁ。なんかさっきから、俺おかしいよ。

やっぱ家なんか行くんじゃなかった。


大した未練なんてない。成仏しようと思えばいつだってできる。

・・・はず、なんだけど。


何でなんだろうなぁ。








或る幽霊の噺

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