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最後の夏休み8

[422] ホッチキス 2011-05-11投稿
さっきの女性はなんだったのだろうか。

あの道で見失うことはないはずなのだが…

さっきの薬の作用で幻でも見たのだろうか?

「もう日常には戻れない…か。」

確かに軽率な行動だったのかもしれない。
怪しい男の薬を確かめもせずに打ったのだから。

「まあ、今さら気にしても仕方ないか。」


そうこうしているうちに自宅に着いた。

普通の住宅街の一戸建てそれが戒の家である。
父親と母親、戒と妹の4人で暮らすには少し大きな家であった。

まだ4時過ぎ。
この時間家に帰ってもやることがないしあまり帰りたくなかった。
しかし、仲の良い友人はまだ塾やら部活やらで忙しく遊びに行けない。
一人で遊びに行くくらいなら部屋でゴロゴロしてたほうがましである。

戒が自転車を置いて家の門を開けると隣で同じく家の門を開ける音がする。

「あっ…。」
目があってしまった。

目が合ったのは神谷葵。小さい頃から隣に住んでいる同じ年の女の子であった。
後ろ髪は黒く肩まで伸びており、前髪は眉のところぐらいでそろっている。
身長は150cmぐらいで顔は一般的に言えばかわいいとされる顔に分類される。

普通そんな女の子と目が合うのは嫌なことではないはずだが、その女の子の場合少し事情が違った。

もの凄く寡黙で普段なにもしゃべらないと思ったら、何もないところを見つめて何やらボソボソと呟いたりしている。
この前でノートを覗いてみると何やら怪しい呪文やら魔方陣やらが書き込まれていた。
クラス内でも不気味がられていて浮いていた。

戒は幼なじみである自分もクラスでは話しかけないようにしているので、葵と会うのはなんとなく気まずかった。


ジ−ッ。
葵はずっと戒の方を見ていた。
戒はあからさまに視線を反らすのもあれなので葵に話しかけた。

「よ、よう葵。夏休み中は会ったないからなんか久しぶりだな。元気してたか?」

…………。
葵は何も言わずにこっちを見ていた。

その空気に耐えられず戒は家に入ろうとした。

「戒……。なんか…雰囲気変わった……。何か……あった…。」

−ん?雰囲気が変わった?−
戒は一瞬魔法のことかと思ったがとりあえず自分から見て何もは変わってとこれがないので部活で焼けたからだろうと思った。

「ああ、部活で結構日に焼けたからなぁ。そんな雰囲気違ってたか?」

−バタンッ−
葵は返事も無くそのまま自分の家に入っていった。

相変わらずよく分からないやつである。
昔はそんなことはなかっただが…

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