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最後の夏休み10

[345] ホッチキス 2011-05-27投稿




ここは夢か現実か境のない世界。

しかし、現実からははるか遠ざかり永遠の夜が続く世界。

そんな世界の真ん中にただ一つぽつんと佇む古城。

その古城の中。家一軒がまるまる入るくらい大きな広間の奥にある玉座。

その玉座へゆっくりとかつ優雅に舞い戻る銀色の少女。

「どちらにお出かけで?お嬢様。」

玉座の横に控える執事らしき乙女。

「始まりの元凶を確認してきた。くっくっく。あれはよい駒になるやも知れん。」

銀の少女は不敵に笑っていた。






戒は昨日と同じぐらいの時間に土手へと向かった。

一体どのような訓練をするのだろうか。どのような魔法が使えるようになるのだろうか。

昨日の不安を余所に戒はまた胸を期待に膨らませていた。

昨日と同じ時刻同じ土手。池見は戒を待っていた。

ただ昨日と違うのは池見が昨日のラフな格好ではなくスーツを来ていたこと、そして近くにリムジンを止めていることだった。

「やっぱり来てくれたか。待っていたよ。」

池見は嬉しそうに戒に話しかけてきた。

「なあ。なんだその車は?ここでやるんじゃないのか?」

「さすがにここだと人目に付くさ。一応極秘事項なんでね。場所を移さしてもらっていいかい?」

戒はなんとなくそんな気がしていた。
戒は黙って車の一番後部の座席に乗り込む。池見はその向かいになっている座席に腰掛けた。

2人が乗り込むと車はゆっくりと走り始める。
それと同時にシャッターがかかり運転席側が見えなくなり、窓もスモークがかかり見えなくなった。

「おい、なんだよこれは?」
「悪いねぇ。これから研究所に向かうんだけど、これも一応極秘事項なのさ。不安ならやっぱり止めとくかい?」

池見は少し申し訳なさそうにそう答えた。

戒は少し不安に思ったがここで引き返す気にもならなかった。

車は一時間くらい走り続けた。そして目的地へとたどり着いた。

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