月色。?
「やりたいことって?」
「…新聞を読むこと。本を読むこと。食事やお菓子を作ること。花壇の世話をすること。それから…日記を書くこと。」
「日記?」
「うん。小さい頃から。父さんが書きなさいって。本当は診察日記だったんだけど、最近は他に個人的な日記もつけてる。」
それは、病院の先生に、日頃どんな症状が出ているかを知らせるための日記だった。でも、それはずっと同じ内容。喘息のような発作と、強い膝の痛み。毎日ではないけど、来る時は日に数回、私の体に訪れる。最近は少し回数が増えているのが、気に懸かる所。
「いいねぇ、日記。」
「キョウは何かしてないの?散歩ばっか?」
「ウーン。そうだね。あとは鳥の世話。」
「鳥?飼ってるの?」
「うん。香港のバードストリートで見つけた薄水色の鳥。綺麗だよ。」
「何ていう名前?」
「カナタ」
「彼方?」
「あ、漢字じゃなくてカタカナね?」
「片仮名で書くんだ。何でカナタ?」
「小さいまま死んじゃった弟の名前。」
「…そうなんだ。」
「うん。でも彼方は笑顔だったから、きっと幸せだったと思う。泣いちゃいけないと思ったから、僕もカナタを飼い始めたんだ。」
「キョウは、優しいんだね。」
「? そんなことナイよ。」
そう言って彼は、そっと微笑んだ。それは、とても優しい微笑みだった。
「…新聞を読むこと。本を読むこと。食事やお菓子を作ること。花壇の世話をすること。それから…日記を書くこと。」
「日記?」
「うん。小さい頃から。父さんが書きなさいって。本当は診察日記だったんだけど、最近は他に個人的な日記もつけてる。」
それは、病院の先生に、日頃どんな症状が出ているかを知らせるための日記だった。でも、それはずっと同じ内容。喘息のような発作と、強い膝の痛み。毎日ではないけど、来る時は日に数回、私の体に訪れる。最近は少し回数が増えているのが、気に懸かる所。
「いいねぇ、日記。」
「キョウは何かしてないの?散歩ばっか?」
「ウーン。そうだね。あとは鳥の世話。」
「鳥?飼ってるの?」
「うん。香港のバードストリートで見つけた薄水色の鳥。綺麗だよ。」
「何ていう名前?」
「カナタ」
「彼方?」
「あ、漢字じゃなくてカタカナね?」
「片仮名で書くんだ。何でカナタ?」
「小さいまま死んじゃった弟の名前。」
「…そうなんだ。」
「うん。でも彼方は笑顔だったから、きっと幸せだったと思う。泣いちゃいけないと思ったから、僕もカナタを飼い始めたんだ。」
「キョウは、優しいんだね。」
「? そんなことナイよ。」
そう言って彼は、そっと微笑んだ。それは、とても優しい微笑みだった。
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