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天使のすむ湖50

[273]  雪美  2006-09-12投稿
六月後半になり、一樹の甲斐高校では、全国統一テストの結果が出ていた。
なんと、桜井は全国順位で十位という高成績を出していた。校内では、桜井が一位で一樹が二位である。
甲斐高校では、テストの結果で十位以内は廊下の掲示板に張り出されることになっている。
「相馬ーやったなー」
桜井はニコニコだった。どう見ても遊びまわっているのに、どこにそんな頭があるのか不思議で仕方なかった。
女子たちも、
「桜井君おめでとう〜」
と祝福の言葉をかけていった。
しかし、俺相馬一樹は奴に負けたのがどうしても悔しい気がした。
「いつ勉強してんだよー桜井」
「頭の出来が違うのだーしかもお前が隣の席になってからは、もう集中力上がってさー成績も上がったってわけさ。」
また馬鹿なことを言って、と内心思っていた。
「はいはい〜」
と俺が行こうとすると、後ろから追いかけてきて
「つめてぇーなーもっと素直に喜んでくれよー俺とお前の仲じゃんかー」
「誤解されるような事言うなー」
と怒ると、
「ますます怪しがられるぞ〜」
と完全におちょくっていた。しかし、桜井が隣になってから、確かに成績は上がっていた。それは嘘ではない、悪い奴ではないし、たまにあるあの悪ふざけが無ければいいのだが・・・
「お前も上がってるじゃん、それで良いんじゃないのー」
うきうきしているようだった。
「俺は地道にしか出来ないからな〜」
と切り返すと、
「まあそうすねるなよー今度は期末テストもあるし、そこで勝負だぞー」
いつでもポジティブな所が桜井の良いところだと思っていた。
俺の成績は、香里のおかげだった。数学は独学だが、他はよく教えてくれていた。しかしそれを校内で言えば、また、香里ファンの男子たちに追いかけられる日々が始まってしまうから、心の中で感謝していた。
なんでも桜井のおかげにしとけば、ホモと見られるのもイヤだが、香里は静かに過ごすことができるからそれでいいのだと言い聞かせていた。

またひそひそと噂が女子の間でたっていた。
「桜井君と相馬君って一緒に放課後も勉強してるんですってー私たちも混ぜてほしいわー」
なんて言っているのだ、
「ダメダメ、俺たちの邪魔はするなよ〜」
嬉しそうに話にのって桜井が言っていた。
「桜井〜誤解されるからやめてくれー」
「相馬〜照れなくても良いじゃん〜」
笑っていた。



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