最後の夏休み24
「俺は無力だ…」
自分に言い聞かせるように戒はそう言った。
「俺の声は届かない?俺は無力だぁ?笑わせるわ。」
少女は鼻で笑う。
「貴様、それは誰に対する言い訳じゃ?わらわか?貴様の妹か?それとも貴様自身に対する言い訳か?!」
少女は厳しい眼差しで戒をにらみつける。
「言い訳だと…。」
「そうじゃ。貴様は自分にはもう何もできない、出来ることはやったと、今の状況に絶望し、諦める自分を正当化しておるだけじゃ。そんなものでは貴様の妹は何一つ救われぬ。これが言い訳ではなくて何なんじゃ?!」
何なんだこいつは?
突然出てきて、好き放題言って…
「お前なんかに…」
「お前なんかに何がわかる!!」
戒はめいいっぱい叫んだ。
敵意と恐れが混じった瞳で少女をにらみながら。
「わからんな。わかりたくもない。貴様のような臆病者のことはな。」
「俺が臆病者だと…。」
「なんじゃ、知らんかったか?貴様は臆病者じゃ。目の前にある絶望に恐れ、ひれ伏し、屈伏するただの臆病者じゃ。」
「だまれ!」
「貴様はいつもそうじゃな!精一杯やった先に、必死に頑張ったさきにある絶望に傷つくことを恐れて、諦め自分に言い訳をする。葵のときにさんざん思い知ったからな!」
「だまれ!だまれ!だまれっ!!」
胸が痛い…心が痛い…。
少女の一言一言が戒の心に突き刺さる。
「貴様いつまでそうしているつもりじゃ?!貴様の時間は中学の時から止まったままじゃ!!」
少女の言う通りである。
戒は葵のとき以来何一つ成長していない。
何一つ変わっていない。
戒の時間はあのときから止まっている。
「もがき足掻かないものに本当に大切なものは何一つ守れぬ。何一つ得られはせん。貴様の心臓はまだ動いておる!最後の最後まで足掻いてみせよ、小野寺戒!!」
パキンッ!!
何かが割れる音と共に色を失った世界は色を取り戻していく。
止まっていた時間が動き始める。
その最中少女は満足そうな顔してその姿を消した。
そうだ。俺の体はまだ動く、俺の心臓はまだ動いている。
頑張ったって何もならないかも知れない…。
足掻いてどうにもならないかも知れない…。
それでも…、
「最後の最後まで足掻いてやるよ!!」
戒は傷だらけの体を引きずりながら、残された力を振り絞って男のとこまで這っていく。
「ふん、理解に苦しむよ。ここで君が頑張ったって何の意味もないよ。ただ無駄に苦しむだけだ。」
男は呆れた顔で戒をにらむ。
「まあ、そんな諦めの悪い君が絶望する姿は本当に楽しみだけどね。」
男は再び明に顔を近づける。
「させるかよ!」
戒は男の右足に噛み付いた。
「くっ!」
男は苦悶の表情で戒をにらみつける。
「やっぱり君は一度大人しくさせた方がよさそうだね。」
男は懐からナイフを取出し、振りかぶる。
「戒にぃっ!!」
明は青ざめた顔で叫んだ。
だが無情にも戒の肩にナイフが突き刺さる。
痛い…。叫びたくなるほどに痛い。
だがそれでも諦めるわけにはいかない。
「まだ、まだだ!!」
戒は精一杯叫んだ。
自分を奮い立たせるために。
そのとき戒の体に異変が起こった。
自分に言い聞かせるように戒はそう言った。
「俺の声は届かない?俺は無力だぁ?笑わせるわ。」
少女は鼻で笑う。
「貴様、それは誰に対する言い訳じゃ?わらわか?貴様の妹か?それとも貴様自身に対する言い訳か?!」
少女は厳しい眼差しで戒をにらみつける。
「言い訳だと…。」
「そうじゃ。貴様は自分にはもう何もできない、出来ることはやったと、今の状況に絶望し、諦める自分を正当化しておるだけじゃ。そんなものでは貴様の妹は何一つ救われぬ。これが言い訳ではなくて何なんじゃ?!」
何なんだこいつは?
突然出てきて、好き放題言って…
「お前なんかに…」
「お前なんかに何がわかる!!」
戒はめいいっぱい叫んだ。
敵意と恐れが混じった瞳で少女をにらみながら。
「わからんな。わかりたくもない。貴様のような臆病者のことはな。」
「俺が臆病者だと…。」
「なんじゃ、知らんかったか?貴様は臆病者じゃ。目の前にある絶望に恐れ、ひれ伏し、屈伏するただの臆病者じゃ。」
「だまれ!」
「貴様はいつもそうじゃな!精一杯やった先に、必死に頑張ったさきにある絶望に傷つくことを恐れて、諦め自分に言い訳をする。葵のときにさんざん思い知ったからな!」
「だまれ!だまれ!だまれっ!!」
胸が痛い…心が痛い…。
少女の一言一言が戒の心に突き刺さる。
「貴様いつまでそうしているつもりじゃ?!貴様の時間は中学の時から止まったままじゃ!!」
少女の言う通りである。
戒は葵のとき以来何一つ成長していない。
何一つ変わっていない。
戒の時間はあのときから止まっている。
「もがき足掻かないものに本当に大切なものは何一つ守れぬ。何一つ得られはせん。貴様の心臓はまだ動いておる!最後の最後まで足掻いてみせよ、小野寺戒!!」
パキンッ!!
何かが割れる音と共に色を失った世界は色を取り戻していく。
止まっていた時間が動き始める。
その最中少女は満足そうな顔してその姿を消した。
そうだ。俺の体はまだ動く、俺の心臓はまだ動いている。
頑張ったって何もならないかも知れない…。
足掻いてどうにもならないかも知れない…。
それでも…、
「最後の最後まで足掻いてやるよ!!」
戒は傷だらけの体を引きずりながら、残された力を振り絞って男のとこまで這っていく。
「ふん、理解に苦しむよ。ここで君が頑張ったって何の意味もないよ。ただ無駄に苦しむだけだ。」
男は呆れた顔で戒をにらむ。
「まあ、そんな諦めの悪い君が絶望する姿は本当に楽しみだけどね。」
男は再び明に顔を近づける。
「させるかよ!」
戒は男の右足に噛み付いた。
「くっ!」
男は苦悶の表情で戒をにらみつける。
「やっぱり君は一度大人しくさせた方がよさそうだね。」
男は懐からナイフを取出し、振りかぶる。
「戒にぃっ!!」
明は青ざめた顔で叫んだ。
だが無情にも戒の肩にナイフが突き刺さる。
痛い…。叫びたくなるほどに痛い。
だがそれでも諦めるわけにはいかない。
「まだ、まだだ!!」
戒は精一杯叫んだ。
自分を奮い立たせるために。
そのとき戒の体に異変が起こった。
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