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奈央と出会えたから。<433>

[495] 麻呂 2011-07-10投稿

* * * * * *

冬休みが終わり、
3月期が始まった。


1月も半ば過ぎ。


北海道では、一番寒い時期かも知れない。



『出欠をとる。

赤西―。相葉―。大野―。亀梨―。』


渋川の顔を見るのも久しぶりだ。


トレードマークだった銀縁眼鏡が、


去年の暮れから、セルフレームに変わった。


フレーム自体はオシャレなんだケド、


渋川には、やはり銀縁眼鏡の方が、しっくりくる様な気がする。



『北岡――

北岡 聖人?!
来てるかぁ?!』



聖人。新学期は、いつも遅刻だからなぁ。


今朝も“わりぃ。先行っててメール”来てたし。



『センセぇ。アイツが新学期早々、遅刻しないワケないじゃん?!

アイツの唯一の弱点は“ 朝“なんだからサ。』



タツヤの一言で、教室内に、どっと笑いが起こる。



『今年は、北岡にも、もう少し真面目になってもらわんとな。

みんなにも聞いてもらいたいが、

今年は真剣に受験生としての自覚を持ってもらわんと、

中学校生活最後の年だからな。

私も、みんなの内申書には、出来るだけ良い事を書いてやりたいしな。』



去年の秋の合唱コンクール以来、


渋川は変わった。


変わったのは渋川だけではない。


クラスメイトで、聖人と犬猿の仲だったタツヤの態度も。



『本当は全員揃った所で発表したかったが、北岡には後で言う事にしよう。


私は来年、みんなが卒業すると同時に、この学校から離れる事になった。


新しい赴任先はまだ未定だ。


だがその前に、みんなもすでに知ってのとおり、今学期いっぱいで秋田谷は帯広の学校へ転校する。


秋田谷と一緒に過ごせるのも、あと少しの期間だが、


秋田谷のこれからのステップアップに向けて、


みんなで気持ちよく送り出してあげましょう。』

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