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悪魔の天使 (15)

[347] 暁 沙那 2011-08-03投稿
しゃがみこんでじっとしていたリアを、そっと温かいものが包み込んだ。

「…ゼイル?」

肩に黒い執事服がかかっている。

「お嬢様、大丈夫ですか?」
「う…ん……。」
「部屋に戻りましょう。お体に障ります。」
「うん、分かった。」



ふわふわのベッドに倒れ込むように仰向けになる。

リアは一瞬の淡い夢に引き込まれた自分が嫌だった。

「バッカみたい……!」

腕で目を覆う。

「お嬢様、そういえばレクス様からこれを。」
「捨てといて。」
「しかし…お嬢様に似合いそうで可愛らしいですよ、これ。」
「いらない。捨てといて。」
「…はい……。」

扉が閉まる音がする。

リアはそれからしばらくそのままの体勢でいた。

だんだん意識が遠退いていく。



ゼイルが帰ってくると、主人は規則的な呼吸を繰り返すばかりだった。

「こんな格好でお休みになられたら風邪を召されますね。」

一歩主人に近寄った。

起こさないように着替えさせ、寝かせる。
温かい布団をかけ、明かりを消した。

「お休みなさいませ、お嬢様。」

静かに言って一礼する。

そして静かに扉を閉め、途中止めの仕事に戻るのだった。

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