a-tear
美亜はボーッと席に着いたまま、前を眺めていた。
すると、
「美亜ー!!」
声の主は、
美亜の親友、優香だった。
優香の席は美亜の席と離れており、あまり喋れない感じの席だった。しかし、優香の前の席は優香の想い人、健だった。
美亜と同じ状況だったのだ。
「「やったねー!!」」
二人して喜んでいた。
次の時間は始業式で、二人で体育館へと向かった。
まぁ、不真面目な美亜がきちんと校長の話を聞くワケもなく、校歌も真面目に歌うワケがなかった。
そうこうしてる内に、1日が終わった。
翌日、美亜は学校に行った。
前の席が好きな男、というだけで前とは違う気持ちで学校に行った。美亜が教室に着くと、まだ直希は来てなかった。
それどころか、2学期始まって間もない頃から、直希はよく学校をサボっていた。
嫌いな算数の時間になると、決まって保健室に行き、早退を繰り返していた。
美亜はつまらなかった。
(ウチが後ろの席になったから?)
と、思うようになった。
そんなある日、直希は珍しく1日学校に来ていた。
直希が悠斗に言っていた。
「今度早退したら、ウチの母ちゃんに飛びげりくらうからよー」
思わず吹き出した。
それ以来、直希は真面目に学校に来るようになった。
そして、美亜は直希と仲良くなっていった。
どうやって仲良くなったのかは、覚えてない。
でも、いつの間にか、自然と話すようになっていた。
直希と話すのが、当たり前になっていた。
直希と遊ぶのが、当たり前になっていた。
直希の隣にいるのが、当たり前になっていた。
そんなある日だった。
直希が珍しく学校を休み、その翌日、休んだ代わりに直希が放課後に体力テストを受けていた。
美亜と優香と健で、直希の帰りを待っていた。
教室で、友達から借りたマンガを読んで。
暫くしてから、直希が戻ってきた。少し疲れて。
「何読んでんのー」
そう言いながら、直希が美亜の隣に座る。
美亜は、壁に寄りかかって体育座りで座っていた。
その隣に座れば、当然、肩が触れる。腕も触れる。
当然、美亜は心臓バクバク。
「ソレ何?」
美亜が読んでいた漫画に顔を近づけてくる。
「・・・・・・漫画」
「面白いー?」
「うん」
そんなやりとりを続けていた。
美亜は純粋に、嬉しかった。
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