悪魔の天使 (30)
(また、あの感じ。優しい、温かい光……。)
温もりを感じ、薄く目を開けた。
「起きた?」
髪を撫でていた手が、頬に触れた。
少しくすぐったくて顔を背け、手のある方の目を閉じた。
それをどう受け取ったのか
「嫌?」
心配そうな声で訊ねた。
リアは慌てて答えた。
「違うの。ちょっと…くすぐった…くて……。」
言葉を失った。
本当に優しい、安堵の色のある笑顔。
「よかった。痛いとことかない?苦しいとか。あ、何か飲む?」
そう言ったレクスの顔からはもうあの笑顔は消えていた。
「え、あ、うん。じゃあ、ちょっとだけ、水もらおうかな。」
リアは少し戸惑いながらも言った。
そこで、ふと思い出す。
「そう言えばあの主人は?」
レクスは机にあった水瓶から、コップに水を注ぎながら答えた。
どうでもよさげに、軽く。
「あれは今頃色々聞かれてんじゃない?契約になかったことしたから。」
「契約になかったこと?」
「そ。ほら、首とか手とか。」
見れば手首に白い包帯が巻かれている。
「赤くなってたからね。結構、というかだいぶ痛かったでしょう?」
素直にこくりと頷くと、上からくすっと笑い声が聞こえてきた。
「はい、水。」
「え、あ、えっと、ありがとう……。」
上目でレクスのいつもの笑顔を認め、コップを受け取る。
リアは少量ずつ水を口に含をで飲んだ。
コップを空にすると、レクスがそれを取る。
机の上に音もなく置く。
そしてリアに近付くと、そっと寝転ぶように促した。
リアは優しく促されて、身を任せる。
(幸せだ。)
直感的に感じた。
これが契約の力なのだとしても、どうでもよかった。
リアはただただ一瞬の幸せに包まれるのだった。
温もりを感じ、薄く目を開けた。
「起きた?」
髪を撫でていた手が、頬に触れた。
少しくすぐったくて顔を背け、手のある方の目を閉じた。
それをどう受け取ったのか
「嫌?」
心配そうな声で訊ねた。
リアは慌てて答えた。
「違うの。ちょっと…くすぐった…くて……。」
言葉を失った。
本当に優しい、安堵の色のある笑顔。
「よかった。痛いとことかない?苦しいとか。あ、何か飲む?」
そう言ったレクスの顔からはもうあの笑顔は消えていた。
「え、あ、うん。じゃあ、ちょっとだけ、水もらおうかな。」
リアは少し戸惑いながらも言った。
そこで、ふと思い出す。
「そう言えばあの主人は?」
レクスは机にあった水瓶から、コップに水を注ぎながら答えた。
どうでもよさげに、軽く。
「あれは今頃色々聞かれてんじゃない?契約になかったことしたから。」
「契約になかったこと?」
「そ。ほら、首とか手とか。」
見れば手首に白い包帯が巻かれている。
「赤くなってたからね。結構、というかだいぶ痛かったでしょう?」
素直にこくりと頷くと、上からくすっと笑い声が聞こえてきた。
「はい、水。」
「え、あ、えっと、ありがとう……。」
上目でレクスのいつもの笑顔を認め、コップを受け取る。
リアは少量ずつ水を口に含をで飲んだ。
コップを空にすると、レクスがそれを取る。
机の上に音もなく置く。
そしてリアに近付くと、そっと寝転ぶように促した。
リアは優しく促されて、身を任せる。
(幸せだ。)
直感的に感じた。
これが契約の力なのだとしても、どうでもよかった。
リアはただただ一瞬の幸せに包まれるのだった。
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