繋ぐ終着点 2
街の明かりが届かない夜道。
さきはその道を歩いていた。手にはコンビニの袋。中にはおにぎりとペットボトルのお茶が入っている。
足どりは重い。
彼女の妹、観城かなの謎の電話から五日。彼女は依然として帰ってこない。電話があったことで家族や警察には自分の早とちりで、『かなは遠くの友達の家に遊びに行っている』と説明した。
「変な宗教に入ってなきゃいいけど」
しかしさきの最大の悩みは、かなの『そっちの世界じゃない』発言だった。結局何がそっちの世界じゃないのか分からないままだ。
そんなことを考えながらいると自宅近くまで来ていた。ふと、自分たちの部屋がある方向を見上げる。
「え?」
マンションの六階。左端の部屋、誰もいないその部屋に明かりがついていた。
「帰ってる?」
かなが帰っているものと思い、さきは玄関ホールを抜けてエレベーターで部屋の階まで昇る。
小走りに部屋の前まで行き、ドアノブを捻り、
「カギ開いてる。かな!? 帰って来てるの?」
勢いよくドアを開けた。
しかし、部屋にいたのはかなではなく、
「ほはぁ!?」
とすっとんきょうな声をあげた見知らぬ少女だった。
「・・・かわいいドロボウさんね」
さきは後ろ手に玄関のドアを閉めて鍵をかける。少女は二、三歩後ずさった。さきはその少女に言葉をかける。
「アンタ、まだ若いから素直に謝れば警察は許してあげるわよ」
「ち、違う!? 忘れ物を取りにきただけ、です!」
少女は特徴的な長いポニーテールを体の前で抱くようにして言葉をつくる。
「ここにあるって聞いたから取りに来ただけ! なんです・・・」
「他人のアンタがなんでうちに忘れ物すんのよ!」
「わ、私のじゃなくて、かなっちの・・・ってどわぁ!?」
少女が言い終わらない内にさきは少女を力任せに押し倒していた。
「かなっちって、かなのことでしょ! アンタ居場所知ってるのね? 案内しなさい」
「それはムリ、ですよ!」
「『そっちの世界』だから?」
「・・・それもそうだけど、私がかなっちに怒られちゃう」
『そっちの世界』の否定はなかった。
「平気よ」
さきは力を緩めて言う。
「怒るのは私だから」
さきはその道を歩いていた。手にはコンビニの袋。中にはおにぎりとペットボトルのお茶が入っている。
足どりは重い。
彼女の妹、観城かなの謎の電話から五日。彼女は依然として帰ってこない。電話があったことで家族や警察には自分の早とちりで、『かなは遠くの友達の家に遊びに行っている』と説明した。
「変な宗教に入ってなきゃいいけど」
しかしさきの最大の悩みは、かなの『そっちの世界じゃない』発言だった。結局何がそっちの世界じゃないのか分からないままだ。
そんなことを考えながらいると自宅近くまで来ていた。ふと、自分たちの部屋がある方向を見上げる。
「え?」
マンションの六階。左端の部屋、誰もいないその部屋に明かりがついていた。
「帰ってる?」
かなが帰っているものと思い、さきは玄関ホールを抜けてエレベーターで部屋の階まで昇る。
小走りに部屋の前まで行き、ドアノブを捻り、
「カギ開いてる。かな!? 帰って来てるの?」
勢いよくドアを開けた。
しかし、部屋にいたのはかなではなく、
「ほはぁ!?」
とすっとんきょうな声をあげた見知らぬ少女だった。
「・・・かわいいドロボウさんね」
さきは後ろ手に玄関のドアを閉めて鍵をかける。少女は二、三歩後ずさった。さきはその少女に言葉をかける。
「アンタ、まだ若いから素直に謝れば警察は許してあげるわよ」
「ち、違う!? 忘れ物を取りにきただけ、です!」
少女は特徴的な長いポニーテールを体の前で抱くようにして言葉をつくる。
「ここにあるって聞いたから取りに来ただけ! なんです・・・」
「他人のアンタがなんでうちに忘れ物すんのよ!」
「わ、私のじゃなくて、かなっちの・・・ってどわぁ!?」
少女が言い終わらない内にさきは少女を力任せに押し倒していた。
「かなっちって、かなのことでしょ! アンタ居場所知ってるのね? 案内しなさい」
「それはムリ、ですよ!」
「『そっちの世界』だから?」
「・・・それもそうだけど、私がかなっちに怒られちゃう」
『そっちの世界』の否定はなかった。
「平気よ」
さきは力を緩めて言う。
「怒るのは私だから」
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