悪魔6
「今日は車で送ってやるから少し待ってな」
ってけいさんがいった
あたしは戸惑っていた
きっと何か突っ込まれるだろうと思ったのだ
しかしあたしは上手く説明できない
それに自分でも受け入れ難い過去を人に共有させることなんかできない
とも思った
あたしにも友達と呼べるものはあった
でもその誰にも話したことはなかったし
向こうも無理に聞いてこようとはしなかったから
帰りの時間になった
けいさんはさりげなく助手席のドアを開けてあたしを座らせ
自分は運転席に座った
けいさんはため息を
いや、深呼吸をひとつついて
「帰るか」
ってそれだけ言った
きっとけいさんにはあたしの考えが全部見えてるんだ
「好き…です」
あたしは不意にけいさんにこう言った
今日の今日まで誰に対しても持ったことのない感情
でも紛れもないマジだった
「お前は…悪魔だな」
ってそれだけ答えてそれ以上けいさんは何も言わなかった
つづきます
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