悪魔の天使 (36)
「おはよ。」
「おはよ、リア。」
何気ない挨拶で始まったある朝のことだった。
事件が起きたのは。
「レクス様!」
凛とした声が響く。
その声の主は、真っ直ぐにレクスに走って行って……。
一瞬リアを見た。
冷たい目で。
「エリー様、おはようございます。」
レクスはいつかの嘘の笑顔でエリーに挨拶をした。
優しく、この世の闇の世界など知らないかのような。
直感した。
(ああ、この人は違うんだ、私とは。)
会話は耳に入らない。
楽しげだ。
世界が遠くに感じる。
「ごめんなさい、私、邪魔ね。」
たったそれだけを言ってリアは踵を返した。
「何よ。あの人。レクス様に対して失礼ね。」
エリーの口元に笑みが浮かべられていたのを、レクスは知らなかった。
『ルカ!』
『いやっ!来ないで!!』
あの夢。
『来ないで、来ないで!来ないで!!』
彼女の声はクレッシェンドしながらも震えていた。
それは怒りからくるものなのか恐怖なのか。
『お願い、来ないで……来ないで!!』
今までの夢とは少し違う
激しい、荒々しい感情。
(呑まれそう……!)
リアは少し荒い息のまま辺りを見渡した。
「…え……。」
――違う。
「え?何で…私…ここに……。」
ここはリアにとっての
――地獄……。
「おはよ、リア。」
何気ない挨拶で始まったある朝のことだった。
事件が起きたのは。
「レクス様!」
凛とした声が響く。
その声の主は、真っ直ぐにレクスに走って行って……。
一瞬リアを見た。
冷たい目で。
「エリー様、おはようございます。」
レクスはいつかの嘘の笑顔でエリーに挨拶をした。
優しく、この世の闇の世界など知らないかのような。
直感した。
(ああ、この人は違うんだ、私とは。)
会話は耳に入らない。
楽しげだ。
世界が遠くに感じる。
「ごめんなさい、私、邪魔ね。」
たったそれだけを言ってリアは踵を返した。
「何よ。あの人。レクス様に対して失礼ね。」
エリーの口元に笑みが浮かべられていたのを、レクスは知らなかった。
『ルカ!』
『いやっ!来ないで!!』
あの夢。
『来ないで、来ないで!来ないで!!』
彼女の声はクレッシェンドしながらも震えていた。
それは怒りからくるものなのか恐怖なのか。
『お願い、来ないで……来ないで!!』
今までの夢とは少し違う
激しい、荒々しい感情。
(呑まれそう……!)
リアは少し荒い息のまま辺りを見渡した。
「…え……。」
――違う。
「え?何で…私…ここに……。」
ここはリアにとっての
――地獄……。
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