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悪魔の天使 (38)

[330] 暁 沙那 2011-09-21投稿
特別何もしてない部屋。

白に似た薄いピンクの壁に、木の大きな本棚。

本の内容は本棚の上から掛けてあるカーテンのせいで見えない。

そんなリアの部屋は甘い香りに包まれている。

いかにも女の子らしい部屋だった。

「ごめんなさい。何もなくて。」

遠慮なくベッドに座り込むレイに、レクスは内心呆れる。

「そんな気遣い別にいいわよ。お話しましょ。」

遠慮くらいしろよ。
ここはお前の部屋かよ。

何て思いながらレクスは部屋を出て戸を閉めた。

「でさ、リアは正直あいつのことどう思ってるの?」
「あいつってレクス様のことでしょうか?」
「呼び捨てでいいわよ?あんなバカ。いつもは呼び捨てでしょ?」
「はい……。」

雰囲気が最初とは全然違った。

リアはまた正直すごいと思った。

「あの人、レクスのことは正直言うとよく分かりません。

エリーと婚約話があるって聞いたとき、何か胸騒ぎがして……。
でもそれはレクスにエリーを任せていいのかってことだと思うし……。

でもそれは何か胸に落ちてこなくて、分かんなくて……!」

不意にレイの口元に笑みが浮かべられた。

「辛い?あいつのこと思うの辛い?」

リアはコクリと無言で頷いた。

「そっか。そうなんだ。じゃあ……。」

優しく横から抱き締められた。

「あいつを、レクスを本気で好きになってくれてありがとう。」
「好きに?」
「そう。その辛さはきっと恋だよ。」

――恋。

ようやく胸にストンと落ちてきた。

「やっと分かりました。レイ様、少し失礼してもよろしいでしょうか?」

リアの笑顔にレイは軽く伏せると片手を挙げた。

「行ってきなさい!」
「はいっ!!」

この想いを伝えたい。





私はずっと前、会って話す前から……。





あなたが好き。





片想いだったのだとしてもこの想いは伝えたい。





本物だから。

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