悪魔の天使 (40)
変な夢を見た。
どこかで見たことがあるような、というか体験した気がする夢。
夢だと信じたかった。
『リア、ごめん……。』
どうして謝るの?
『――すね?』
夢の中のリアは涙をこらえて頷いた。
今にも泣き出しそうな、それでもちゃんとした笑顔を浮かべて。
『ごめん…ごめんね……リア……。』
何かを言った気がする。
もう覚えてない。
「――…クス?」
うっすらと目を開けた。
無意識に手を伸ばそうとすると途中で何かに止められた。
何かと思い手の方に目をやる。
その瞬間何があったのかを全て思い出した。
白く細い手首に嵌められていたのは鉄枷。
それも魔法界の牢獄で使用されていると言われている、魔力封じの石の混ざった鉄。
(眠らされている間にこれ、付けられちゃったんだ。)
大体の見当はついていたが一応辺りを見回して見る。
(やっぱりね……。)
リアが真っ白なシーツが敷かれたベッドの上だ。
薄着にされている。
片手片足、手と足で反対側の方を鉄枷と鎖で繋がれ、首にも首輪と鎖。
犬以下の扱いを受けることが簡単に予想された。
「旦那様がいらっしゃいました。」
さっきは誰もいなかった方から声が聞こえた。
瞳に光の無い少女―首には首輪と途中で切れた鎖が付けられている―が言ったすぐ後に扉が開いた。
「今日も綺麗だ。」
そう言ったのは今ではお決まりとも言える、太った中年貴族。
その男は彼女を抱き寄せると唇を重ね、自分のそれを彼女の身体に這わせて下に下りていった。
彼女は何も言わない。
ただただ終わるのを待っている、そういった素振りさえ見せない。
諦めきっているのだ。
それを見たリアは、手だけはどうにかしようと必死に、下に向かって力を込める。
(やだ……!絶対嫌!あんな風には…人形にはなりたくない!!)
前は偶然にもレクスが助けてくれた。
でも流石に今回は来れないだろう。
結界が張ってあるから。
男はしばらくの間彼女を弄び、部屋を出させた。
リアと二人きりになる。
「あなたは?」
男を睨み上げながら尋ねた。
「何だ…それは……。」
「――え…」
男が低く唸ったかと思うと頬に激しい痛みを覚える。
口の中が切れたのか、薄く開いた口の端から血が垂れた。
手を熱くなってきた頬に当てる。
そして不安げな色を称えた目を男に向けるのだった。
どこかで見たことがあるような、というか体験した気がする夢。
夢だと信じたかった。
『リア、ごめん……。』
どうして謝るの?
『――すね?』
夢の中のリアは涙をこらえて頷いた。
今にも泣き出しそうな、それでもちゃんとした笑顔を浮かべて。
『ごめん…ごめんね……リア……。』
何かを言った気がする。
もう覚えてない。
「――…クス?」
うっすらと目を開けた。
無意識に手を伸ばそうとすると途中で何かに止められた。
何かと思い手の方に目をやる。
その瞬間何があったのかを全て思い出した。
白く細い手首に嵌められていたのは鉄枷。
それも魔法界の牢獄で使用されていると言われている、魔力封じの石の混ざった鉄。
(眠らされている間にこれ、付けられちゃったんだ。)
大体の見当はついていたが一応辺りを見回して見る。
(やっぱりね……。)
リアが真っ白なシーツが敷かれたベッドの上だ。
薄着にされている。
片手片足、手と足で反対側の方を鉄枷と鎖で繋がれ、首にも首輪と鎖。
犬以下の扱いを受けることが簡単に予想された。
「旦那様がいらっしゃいました。」
さっきは誰もいなかった方から声が聞こえた。
瞳に光の無い少女―首には首輪と途中で切れた鎖が付けられている―が言ったすぐ後に扉が開いた。
「今日も綺麗だ。」
そう言ったのは今ではお決まりとも言える、太った中年貴族。
その男は彼女を抱き寄せると唇を重ね、自分のそれを彼女の身体に這わせて下に下りていった。
彼女は何も言わない。
ただただ終わるのを待っている、そういった素振りさえ見せない。
諦めきっているのだ。
それを見たリアは、手だけはどうにかしようと必死に、下に向かって力を込める。
(やだ……!絶対嫌!あんな風には…人形にはなりたくない!!)
前は偶然にもレクスが助けてくれた。
でも流石に今回は来れないだろう。
結界が張ってあるから。
男はしばらくの間彼女を弄び、部屋を出させた。
リアと二人きりになる。
「あなたは?」
男を睨み上げながら尋ねた。
「何だ…それは……。」
「――え…」
男が低く唸ったかと思うと頬に激しい痛みを覚える。
口の中が切れたのか、薄く開いた口の端から血が垂れた。
手を熱くなってきた頬に当てる。
そして不安げな色を称えた目を男に向けるのだった。
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