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悪魔の天使 (43)

[346] 暁 沙那 2011-09-26投稿
お互いの手を重ねて歩いていく。

レクスはリアに合わせてゆっくりと歩いた。
そのおかげでリアは楽に歩けた。

「ねえ、ここまでどうやって来たの?」

そう訊かれたレクスは歩みを更に遅くすると、リアに微笑み、顔を近づけた。

「――っ……!」

身を強張らせ、きつく目を閉じると、寸前で気配が止まった。

ゆっくりと目を開けるとレクスとまともに目が合う。

「そんなにして欲しかった?」
「――っ…なっ……!違うわよ!」

唇にかかる吐息に小さく震える。

記憶を取り戻したいと願ったときからだ。
リアがその程度のことにも敏感になったのは。

「どうやって来たのか教えてあげようか?」
「っぁ……別にっ…い…い……!」
「何で?そっちから訊いてきたんだよ?このまま教えてあげてもいいよ?」
「う…んっ……!また後でいいから!」

涙目で見上げる。

(だから離れて!)

祈るように見つめるとレクスは離れてくれた。

「後でリアは何してくれるの?」
「え?何で?」
「だって止めてあげたんだよ?お礼にリアから何かしてよ。」

リアはそんな話聞いてないときつく見上げるが、いつものあの笑顔で軽く受け流された。

「そういえばさ、ここに来れたのはいいんだけどね、その……。」

――帰れない。

突然の衝撃の一言に固まる。

「は?」
「いや、方法はあるんだよ?ただちょっと場所が悪すぎて……。」

そういえばここに来てから魔法が発動しない。

独学とはいえ、その辺の魔女よりかは使いこなせていたはずだった。
レクスも国のために働けるほどは魔法が扱えた。

「俺が思うに多分この屋敷の壁のせい。」
「壁?」
「そう。多分魔力封じの石を混ぜたもので全部作られてる。」
「でも、壁だけなら…」
「リアの着てるその服も混ざってる。」

リアの着てるのは白の薄いワンピースだった。

石はその辺によく転がっているものと同じ色で、白い服に混ざっていたらすぐに分かる。

「凄く細かくしたら混ざってても分からない。」
「そんなことこの世界で出来るの!?」

レクスはつい声を荒げたリアの口に、自分の手を当てた。

その時、背後に気配を感じる。

(しまった!気がいってなかった!)

二人が振り向いたその先にはあの人がいた。

「我々は開発したのだよ。魔物を人の手中に納める術を!!」

そこには白い悪魔が立っていた。

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