悪魔の天使 (44)
レクスの手を握る手に力がこもる。
「さあ、帰っておいで、リア。」
伸ばされた手に首を横に振る。
「いいのか?また、ああなるぞ。」
リアの肩が一つ、大きく波打った。
「さあ。」
更に伸ばされた手に一歩後退った。
「行きたくない……!」
リアはレクスの腕にしがみつくように手を強く握った。
リアが小さく震えているのが分かった。
「行かなくていい。」
「そういう訳にはいきませんな。次のお客様が待っている。」
「リアはあんたらの物じゃない!」
リアの頬を一滴の涙が伝う。
少し驚いた顔でレクスを見つめた。
「では、それを買い取ると?」
「だからリアはあんたらの物じゃ…」
「物ですよ、私たちの。」
扱いが酷い。
人を人と思わない発言に思わず怒りが込み上げる。
それを抑え、一つ息を吐くと睨み上げながら訊いた。
「いくら?」
「三億くらいは頂くことになりそうですね。それでもまだ安いかと。」
「兆くらいならいける。お宅の好きなように。一括払いで。」
「分かりました。ではこちらで検討しておきましょう。」
そう言ってあの人は去っていった。
レクスはまた息を吐くとリアを見た。
まともに目が合う。
「ごめんなさい…兆くらいってそっちに凄い不利益なことを……!」
レクスから目を逸らして泣くリアを無理矢理こちらに向かせた。
「不利益になるのは、君がどこかに消えてしまうとき。だからそうならないようにしたい。」
真摯な目で見つめられると動けなくなる。
まるで出会ったあの日のように。
「あの世界に帰ったら結婚してほしい。正式に申し込みたいと思う。」
驚きに目を見開く。
しばらくそうしてから俯いた。
そしていきなりレクスに抱きつく。
「私、わがままだから!迷惑いっぱいかけるし、いっぱい怒らすと思う。それでもいい?後悔しない?」
「後悔ね。させれるもんならさせてみなよ?」
リアは笑みを浮かべると宣戦布告した。
「知らないんだから!」
初めて知った。
本当の幸せを。
「さあ、帰っておいで、リア。」
伸ばされた手に首を横に振る。
「いいのか?また、ああなるぞ。」
リアの肩が一つ、大きく波打った。
「さあ。」
更に伸ばされた手に一歩後退った。
「行きたくない……!」
リアはレクスの腕にしがみつくように手を強く握った。
リアが小さく震えているのが分かった。
「行かなくていい。」
「そういう訳にはいきませんな。次のお客様が待っている。」
「リアはあんたらの物じゃない!」
リアの頬を一滴の涙が伝う。
少し驚いた顔でレクスを見つめた。
「では、それを買い取ると?」
「だからリアはあんたらの物じゃ…」
「物ですよ、私たちの。」
扱いが酷い。
人を人と思わない発言に思わず怒りが込み上げる。
それを抑え、一つ息を吐くと睨み上げながら訊いた。
「いくら?」
「三億くらいは頂くことになりそうですね。それでもまだ安いかと。」
「兆くらいならいける。お宅の好きなように。一括払いで。」
「分かりました。ではこちらで検討しておきましょう。」
そう言ってあの人は去っていった。
レクスはまた息を吐くとリアを見た。
まともに目が合う。
「ごめんなさい…兆くらいってそっちに凄い不利益なことを……!」
レクスから目を逸らして泣くリアを無理矢理こちらに向かせた。
「不利益になるのは、君がどこかに消えてしまうとき。だからそうならないようにしたい。」
真摯な目で見つめられると動けなくなる。
まるで出会ったあの日のように。
「あの世界に帰ったら結婚してほしい。正式に申し込みたいと思う。」
驚きに目を見開く。
しばらくそうしてから俯いた。
そしていきなりレクスに抱きつく。
「私、わがままだから!迷惑いっぱいかけるし、いっぱい怒らすと思う。それでもいい?後悔しない?」
「後悔ね。させれるもんならさせてみなよ?」
リアは笑みを浮かべると宣戦布告した。
「知らないんだから!」
初めて知った。
本当の幸せを。
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