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初恋

[382] えびてん 2011-10-11投稿

すてきなひと。

初めてみたときから頭のすみに必ずいて離れない。

気づけば目が彼をおっている。

見ているだけで癒される、そんな存在。

そんな彼は私のことを知っているだろうか?

知らないなら、悲しい。


…そうだ、手紙を書こう。

放課後の教室。

いきなり今日の放課後教室でまっていますはきつかっただろうか。

時計は手紙に書いた時間の1時間が過ぎた時間をさしている。


…帰ろう。

仕方ない。こちらの勝手な都合なのだから。


教室から出ようとした時、廊下からバタバタと足音がした。

「まだいる!?」

びっくりした。

彼が、きた。

私を見つけると安堵の息がもれる。

「よかった、まだいた」

胸が高鳴った。

顔が赤くなるのがわかる。

「あの…さ、この手紙って?」

私が書いた手紙をさしだす。

あぁ、そうか。

「えっと、そうですね…。」

なんのために書いた手紙だっただろうか。

「あなたに近づきたくて。もちろん、好意をもってです」

間違ったことは言ってないはずだ。

彼の方をみると、ぽかんとしている。

なにか違っただろうか。

「初めて見たときからすてきだと思って。話してみたくて、もっと…あなたを知りたくて」

彼の顔が赤くなっていく。
なぜだろう。

「あの…?」

彼がはっと我にかえったように慌てはじめる。

「あ…っと、その、??直球すぎっ!照れるってのっ!!」

怒っている?

「別に怒ってる訳じゃねーかんなっ!ただ、その…照れただけっ」

なるほど。

私なんかの言葉でも照れてくれたのか。

少しうれしい。

「てことはこれって、ラブレター?」

そう言われると、そうかもしれない。

「えっと…たぶん」

彼の顔が真剣になる。

「それなら俺は、答えらんない」

そうだろうな、と思ってた。

「えっと…それじゃあな」
彼がでていき、1人教室に残される。

…私も、帰ろう。




次の日。

いつもの道をいつもの時間に通る。

いつもと変わらない。

1つ除いて。

「柴崎、おはよう」

私の名前。

振り返る。

彼がいた。

「…おはよう」

彼が微笑み、私を抜かしていった。

知ってたんだ。

私の名前。


…昨日の手紙、あれはまぎれもなくラブレターだった。

だってあいさつされただけで、名前を知っていてくれただけで、こんなにも胸があつくなる。

涙が頬をつたう。

あなたは私の、初恋でした。


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