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悪魔の天使 (49)

[342] 暁 沙那 2011-10-18投稿
青い海、緑の草、色とりどりの花。

少しだけ潮の香りを纏った風が金の髪を掬った。

リアは髪を白い手で軽く押さえ息を吸い込む。

「もうあれから半年経つのかぁ。」

軽く呟くと後ろから覆い被さるようにして腕を回された。

「レク?」

その腕に手をやり、上目に問うといつもの笑みが返ってきた。

「どうしたの?」
「それはこっちのセリフだよ。リアこそこんなとこで何やってんの?」

レクスがリアの頬に軽く口づけると、リアはくすぐったそうに小さく笑った。

「海よ、海見てたの。」
「海?いつでも見れるのに?」
「何でか分かんないけど今見たかったの。ほら、見て!今は光で海がキラキラしてるでしょう?私この景色、好きよ。」

海は穏やかに波打ち、光が反射されている。

「リアはここに来て幸せ?」

リアは思いもよらぬ質問に目を瞬かせた。
しかし、その質問の意味を悟ると笑みを少し消した。

「レクがどう思ってるかは知らないけど、私は幸せよ。あの家は追い出されたけど、代わりにレクの家に正式に嫁ぐことができたんですもの。」

あの後、リアはすぐに家を出された。

しかし、アスペルト家はティーアス家を徹底的に調べあげ、ある事実を発見した。

今までリアは養子、リアの姉妹は本家と言われてきた。
しかし、それは真実の正反対だった。

『あの娘が正式なティーアス家の一人娘であり、正当次期当主ってことが分かったわ。レクス、あの娘うちに呼びなさい。早いうちに正式な結婚式するわよ。』

レイは色々張り切っていた。

そんなこんなでレクスはリアを見つけだし、アスペルト家に入れた。

これで血筋的にも何の問題もない。

早いうちにもらっておかないと、どこかの男に取られる可能性が高かった。

『リア、うちは歓迎してるよ。』

手を差し伸べるとリアは大人しく手をとった。

今は二人でいたいというリアの頼みを聞いて、ここにいる。

リアはレクスが思ったよりもずっと楽しんでくれている。

「そろそろ中に入ろう。お菓子あるよ。」
「うん、分かった。行こっか。」

二人はお互いの手を重ねて、屋敷に入った。





――さよなら。

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