『生きる』ということ。<17>
「本当によかったわ!」
看護師さんが涙目で言う。
「…でも治ったわけじゃないから、絶対安静だからね」
「はい…」
「うっ…でも、本当にっ…よかったあぁぁ!」
ついに泣き出してしまった。
「まあまあ小澤さん、落ち着いてください!」
先生が看護師さんの背中を摩りながら宥める。
その光景が面白くて羽琉と聖は思わず笑ってしまった。
その日は特別に病室に泊まることを許可してくれた。
「…羽琉ちゃん、もう寝た?」
「…ううん」
「なんか眠れないね…」
「うん…」
二人は起き上がった。
「あ、星。見えるかな?」
羽琉はカーテンを開ける。
「あーぁ…残念。曇ってて見えないや…」
「あ、でも…」
聖が窓の外を指差す。
「わあぁ…」
窓の外は街の明かりでキラキラ光っていた。
「キレイ…」
羽琉は小さな声で言った。
(昔だったら、こんな事思わなかっただろうな…。
こんな気持ちになれたのは、きっと…)
羽琉は聖をちらっと見る。
すると聖と目が合った。
-ドキッ-
「わ、私もう寝るね!おやすみっ!!」
「うっ、うん!おやすみ!」
その日、羽琉はドキドキが止まらなくて良く眠れなかった。
感想
- 41619:聖がこのまま元気でいれますように…[2011-10-24]