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がんばったで賞 最終話 〜がんばったで賞には続きがある…。読んでくれた人ありがとうございました〜

[400] るー6 2011-11-04投稿
普通、耳が聞こえないので、目を隠されると尋常ではない恐怖を覚えるが、この手は暖かい。
しばらくすると、それが解けて、視界にカズヒロが見えた。
「…どうして…」
カズヒロは手話をしかけたが、
…いいや。普通に接する方が、アキの心を傷つけずに済む。と思い、やめた。

…しばらく2人で、川の流れ、そして見渡す限り何もない街並を見つめた。
カズヒロとアキは、お互いの手を握りあって、キスをした。
…これが出会って最初のキスだ。…でも、これが最後となりそうだ。
何も言わずに、カズヒロとアキはキスをした。
フレンチ…キス。甘酸っぱい青春の1ページ。
キスをした後のカズヒロは、照れて私を見てくれない。
でも、幸せそうに見えた。

…3月。

…卒業式。
先輩の代の卒業式とはいえ、カズヒロは1番大切な人を失う日。
カズヒロとアキの恋が…終わる日。

一方アキは、今日づけでこの学校をやめる…。
しかしまだ、その気持ちだけで、入学の書類は出していない。
『好きなら好きって、ちゃんと言う』
好き…か。
アキもカズヒロの思い出に、1つずつ浸っていた。

在校生代表挨拶。それになんと、カズヒロが呼ばれた。
カズヒロ…?アキは少し笑ってしまう。
テンパらないかな…なんて「3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。」
3年生に向かって言ってるので、アキには何を言ってるのか分からない。
「この日を最後に、先輩方は、それぞれの進路へと向かって、別々に歩み始めます。」
…淡々と喋っているようだ。
「しかし…」
…しかし?
「俺も、この日を境に、大切な人と別れなければなりません…。」

「え?」
「どう言う事?」
在校生が騒ついた。
アキも、空気が変わったことを肌で感じた。
カズヒロはくるりとアキの方、在校生側を向いた。
手話を…使うようだ。手が動いた。
「それは…東条アキさん。」
体育館内が更に騒ついた。
「アキは、耳が聞こえないため、ろう学校へ入学すると、本人から聞きました。」
『カズヒロ…』
「俺も、アキの意志を大切にして、この日まで過ごしました。」
アキの心に、一言一言、染み渡っていく。
「でも…本当は…転校してほしくない…。」
カズヒロの目に、涙。
「アキは、俺が1番大切にしたい人だから。」
『…。』
「俺、アキが好きだもん!もっと…一緒にいたい!だから…。」
カズヒロはアキのもとへ駆け寄り、アキをステージにひっぱりだして、

「行かないで欲しい。」
…卒業式を打ち壊しているのは十分に分かってる。
ただ、この気持ちは伝えたかった。
「俺の側に居てほしい。」
…いてほしい…。
「入学届…出してないって…アツコ叔母さんから、こっそり聞いた。」
『えっ…。』
アキは一瞬驚くも、カズヒロの気持ちに答えた。
『分かった。』
「サンキュー。」
在校生からは、はち切れんばかりの歓声。
…アキとカズヒロ。
2人は、誰にも邪魔されることなく結ばれた。
まさか、こんなサプライズをしてくれたなんて。

…がんばったで賞には、続きがあります。

その続きは今、私一人で見ていません。

大切な人と一緒に見ています。

同じ場所で。

2人は、永遠に結ばれました。

感想

  • 41633:出会いからラストまで長編ご苦労様でした!るーさん[2011-11-05]
  • 41636:空さんが何回もコメントしてくれたおかげです。ありがとうございます('∀'●)るー6[2011-11-06]

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