黄色い傘
ザーーーー。今日も雨のようだ。毎年六月の梅雨の時期に入るとあのコを思い出す。黄色い傘をさした少年を。俺は昔家賃の安いボロイ風呂なしのアパートに住んでいた。そう、そこのアパートがあのコとの出会いだった。もう五年も昔になる。その少年は梅雨の時期と共に現われた。雨の日は必ず窓の外からじっとこっちをみつめている。しかし、俺は眼がかなり悪く黄色い傘をさしたコがこっち見てるなくらいしかわからなかった。眼鏡をかけてもぼやけるほどだった。そんなある日、真夜中に急なひどい土砂降りの時があって、目が覚め、なんとなく外に目をやった。誰かいる。今は真夜中の二時だ。眼鏡をかけて再度見なおす。誰もいない‥。見間違いか、寝よっとそう思った瞬間‥、ピンポーン 誰だ?こんな時間に…。ドアをそーっとあける。黄色いびしょ濡れの傘がそこにある。まさか?少しずつドアをあけていく‥。あの少年だと思われるコがいる。下を向いている。「どうしたの?おうちに帰らなくていいの?」すると少しずつ上を向く、ん?俺は体が動かなくなった。ひっ!顔がひどい火傷で原型をとどめていない…!少年がぼそっとつぶやく…「ここ僕んちだよ……。」俺は気を失った。
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