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子供水先案内人〜過去からの話3〜

[378] Joe 2011-11-18投稿

一瞬、耳を疑った。


え、
「迎えに?」
ここで朱鷺子は初めて、背中を
ひゅと
とした悪寒が走るのを感じた。


じゃぁ、
「退院なさるの?」
背中で感じる冷たいものとはまるで逆の事を聴いた。
男は戸惑う様に赤ん坊らしきものに目を落とした。


いいや
「退院するんじゃないよ。」

僕は
「この子を案内しに来たんだ。神様のところにね。」
男がそう言った途端、
すう
と点滴の辺りから身体が凍っていく様な感覚が走った。
が、


神様
「のところって、じゃぁまさかその赤ちゃん亡くなったの?」
その問いに男はうつ向きながら今までで一番穏やかな声で答えた。


そうだよ
「ついさっきまで頑張ってたんだけどね。」

この子は・・
「っ!!」
顔を上げた男は
ぎょ
とした。朱鷺子の両目から黒い滴が頬を伝っている。それが白いシーツに落ち、月明かりに照らされて青黒い染みを作っていく。


君は
「この子が誰の子か分かるんだね。」
朱鷺子は目も逸らさずに頷き、少し大きくなりはじめたお腹を押さえた。


わたしの
「私達の赤ちゃん、なのね・・。」


・・
「・・。」
男はただ頷いた。



う・・ん
「朱鷺子、誰と話して・・い・・る・・?!」
すぐ横で交わされる会話に、征一朗が目を覚ました。
が、男の気配に気がついて、
がば
と朱鷺子と男の間に立ち塞がった。
男は頭上から鬼の様な面でこちらを睨む征一朗に、

と驚きと恐怖を感じたが、

と一瞬で表情を変え、朱鷺子にもした質問を繰り返した。


僕が
「見えるんですね。」


君は
「?誰かね。何故ここにいる?」

征一朗は普段恐ろしい顔をさらに怖くして凄んだ。
男は 繰り返した。


僕が
「見えるんですね。」
落胆したようにつぶやいた。


何を
「言っているのかね?見えるが、当たり前だろう。」


いいえ

男はそう言って目の前から消えた。二人が

と驚いていると、反対側で、


僕は
「人間じゃありませんから。」
と声がした。

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