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おにいちゃん、これおしえて?

[646] misato 2011-11-20投稿
Part seven # 屋上 #


「……えーっと」

わたしが今居るのは、学校の屋上。

今日は良い感じで風が吹いていて、気持ちいい。


――って、そんな事はどうでもいい。


「…あの…」

郁くんに連れられて屋上に来たわたし。

屋上に来たのはいいんだけど…

(す、すごく気まずい…)

早く用件を言ってくれればいいものを、郁くんは屋上に着いてからずっと無言でわたしをじっと見ているだけ。

なに?

言いたい事があるんなら言ってよ…。


「――あのさ」


屋上に来て数分。

やっと郁くんが口を開いた。

「初音っていう名前の子、あんたしかいないの?」

「……え?」


心地よい夏の風をからだで感じていたわたしの耳に届いたのは、郁くんのそんな言葉だった。

「わたしだけ…だと思う。それがどうかしたの?」

「じゃあ、あんたが“はーちゃん”?」


……!!


郁くんは覚えてたの?
わたしのこと…

驚き固まっているわたしの頭のてっぺんから足の爪先までじっくりと見て、郁くんはため息をついた。


「あの可愛かったはーちゃんが…こんな貧乳チビに成長したなんてな」


ん?


郁くん、今なんて?

チビはいい。
言われ慣れてるし、女の子はちっちゃい方がいいもん!
高いのもかっこよくて憧れるけど。

まあ、それはおいといて。


貧乳??


い、郁くん?女の子に貧乳だなんて…気にしてるのに!

さらに追い討ちをかけるようにして、


「しかも寸胴。おこちゃま体型…」


そう言いながら、くすりと笑み(?)を浮かべる。

わわっ…かっこいい。

――じゃなくて!

「さ、さっきから何なのっ?!」

きっ、と試しに郁くんを睨んでみる。

少しは怯むかと思ったのに、

「はっ…変な顔…」

何故か笑われてしまった。

笑いながらわたしに鏡を差し出してくる郁くん。

わたしは羞恥からくる顔の熱さを感じながら、それを受け取った。

「じゃ、そろそろ時間だし戻っとく」

そう言い、郁くんは屋上の出入口まで歩いて行き、扉の前で立ち止まり顔だけこちらを向いて、微笑を浮かべながら、「また後で」と軽く手を振り、そのまま屋上から出ていった。


「……」


悔しい。

いま、不覚にも――どきってきた。

「はあ…」

ため息をつきながら、俯く。

俯いた視線の先には、鏡。

うん…


    変な顔。

感想

  • 41866:続きが気になります!![2011-12-26]

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