悪魔の天使 (50)
時計の針はなぜ進むのだろう。
歯車のせいだ。
私はなぜ――?
小さい頃、母はリアを捨てた。
『あんたといると不幸になる。』
小さい頃、叔母と父が妹と姉と新しい母を連れてきた。
『この人が新しい母さんだよ。』
『お前なんかよりずっと賢い。この子達を見習いな。』
魔法も独学で学び、執事も召喚した。
人一倍頑張って人よりは魔法を操れるようになった。
それでも独りだった。
味方はたった一人の執事だけだった。
だから求めた。
あの時手を差し伸べてくれた彼を。
彼が自分のもので自分は彼のもので。
独りじゃなくなった。
嬉しかった。
「もう、私は――なくていい!」
部屋に響くのは時計の進む音。
涙が零れた。
リアは涙を軽く拭い、隣で眠っているレクスを見た。
起きる気配はなく、規則的な呼吸音が聞こえてくる。
リアは幼いその寝顔に軽く笑みを浮かべ、すぐそばにあった手を握った。
「ごめんね、私はもう戻れない。残りはあと三日だから。だから……。」
痛むような顔をしたあと手を離すと、眠りについた。
朝、寝室で一日が始まった。
「リア、おはよー!!」
「レク、おはよう。本当に朝からいらっとするくらい元気ね。」
「でしょー?」
リアはいつも通りの嫌味を言うが、完全に流される。
「ホントにリアは朝が苦手だね。」
頭をぽんぽんと軽く撫でられリアは少し俯いた。
「リア?」
「…バカ……。」
「そういうとこが好きなくせに。」
リアは一つポカッと叩くと歩き出した。
ドアのところまで来ると思い出したかのように立ち止まった。
「今日は別のとこに遊びに行きたい。」
ドアに手をかけたままレクスを見つめる。
「ぷっふははははっ!!そっか、分かった。今日は仕事もないし、遊びに行こ。」
「うん!じゃ、準備してくる!」
リアは勢いよく出ていった。
すぐに
「わわっ!?ごめんなさい!」
そう言う声が聞こえてくる。
「リア様ったら、ずいぶんと嬉しそうなご様子ですね。」
「うん、今日は別のとこで遊ぶんだ。久しぶりだからじゃないかな。」
「まあ、そういうことでしたか。」
レクスはリアとぶつかりかけたであろう女中と、微笑ましい会話をしながら支度をするのだった。
歯車のせいだ。
私はなぜ――?
小さい頃、母はリアを捨てた。
『あんたといると不幸になる。』
小さい頃、叔母と父が妹と姉と新しい母を連れてきた。
『この人が新しい母さんだよ。』
『お前なんかよりずっと賢い。この子達を見習いな。』
魔法も独学で学び、執事も召喚した。
人一倍頑張って人よりは魔法を操れるようになった。
それでも独りだった。
味方はたった一人の執事だけだった。
だから求めた。
あの時手を差し伸べてくれた彼を。
彼が自分のもので自分は彼のもので。
独りじゃなくなった。
嬉しかった。
「もう、私は――なくていい!」
部屋に響くのは時計の進む音。
涙が零れた。
リアは涙を軽く拭い、隣で眠っているレクスを見た。
起きる気配はなく、規則的な呼吸音が聞こえてくる。
リアは幼いその寝顔に軽く笑みを浮かべ、すぐそばにあった手を握った。
「ごめんね、私はもう戻れない。残りはあと三日だから。だから……。」
痛むような顔をしたあと手を離すと、眠りについた。
朝、寝室で一日が始まった。
「リア、おはよー!!」
「レク、おはよう。本当に朝からいらっとするくらい元気ね。」
「でしょー?」
リアはいつも通りの嫌味を言うが、完全に流される。
「ホントにリアは朝が苦手だね。」
頭をぽんぽんと軽く撫でられリアは少し俯いた。
「リア?」
「…バカ……。」
「そういうとこが好きなくせに。」
リアは一つポカッと叩くと歩き出した。
ドアのところまで来ると思い出したかのように立ち止まった。
「今日は別のとこに遊びに行きたい。」
ドアに手をかけたままレクスを見つめる。
「ぷっふははははっ!!そっか、分かった。今日は仕事もないし、遊びに行こ。」
「うん!じゃ、準備してくる!」
リアは勢いよく出ていった。
すぐに
「わわっ!?ごめんなさい!」
そう言う声が聞こえてくる。
「リア様ったら、ずいぶんと嬉しそうなご様子ですね。」
「うん、今日は別のとこで遊ぶんだ。久しぶりだからじゃないかな。」
「まあ、そういうことでしたか。」
レクスはリアとぶつかりかけたであろう女中と、微笑ましい会話をしながら支度をするのだった。
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