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天使のすむ湖54

[261]  雪美  2006-09-15投稿
夏祭りも、18時を過ぎる頃には、人も花火会場に流れていく、俺たちもその流れに乗るように、花火会場に向かった。
途中の屋台で、香里はイチゴ味のカキ氷を買って食べていた。
「つめたい〜ほら見て、」
と俺のほっぺたに、カキ氷の容器をくっつけた。
「つめて〜」
と俺がよけると、よろけて氷を今度は少しこぼしてしまい、
「あーこぼれちゃった。一樹がよけたからよ〜」
といたずらっぽく笑っていた。
「俺のせいにするなよー」
俺も香里の笑顔が嬉しくて、まぶしくて、目を細めた。
結局食べ切れなくて、俺がカキ氷の残りを食べて、冷たい感触が、少し歯にしみて、人ごみの隅にキヨさんが持たせてくれたレジャーシートをひいた。
「ここから見えるかな〜私花火大会もはじめてなのよ。」
待ち遠しくて、通りでもらったうちわでぱたぱた扇ぎながら待っていた。
花火の見える公園は、次第に人が集まり、19時過ぎから、小さな花火からドーン、パチパチと音を鳴らしながら、打ち上げられ、空に色とりどりの花火が目の前に広がり、その度に目を輝かせていた。
大きな花火が打ちあがると、歓声が上がって、
「わあ〜綺麗〜」
とため息が漏れていた。
「キャー何かいるー」
視線の先には、香里の足首の辺りをセミの幼虫がうろうろしていた。もう明日にでも脱皮しようかと言うくらいのものである。きっと木上から降りてきたのだろう。俺は捕まえて帰ろうと言ったが、イヤだと半泣きになってしまったので、木上に逃がしてやった。
花火は次々と打ち上げられ、空いっぱいに広がるほどの大きさだった。火薬のかすかな匂いがして、夜の薄明かりに照らされて、香里の浴衣の青と黄色の蝶がはえていた。このまま時が止まらないかと、俺は思っていた。

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