月のうさぎ 第一話
本編
高校生の頃だった、
僕が姉と飼っていた、
小さな可愛い子うさぎが、
突然息を引き取った。
僕は深い悲しみに暮れながら、
その安らかななきがらを、
町の外れの火葬場で、荼毘に臥そうと考えた。
うさぎの死んだ、次の夕
、僕は姉と車に乗って、
木々深まった火葬場へ、
その亡骸を預けにいった。
預けてしまった帰り道、
姉は静かに泣いていた。
愛していたあの子うさぎが、
今日には灰になっている
。僕はうさぎとの、楽しき日々を、
懐かしながら、思い出す。
その帰り道、
僕たちは、
家の近くの親しみのある、
ひっそりとしたカフェに
、寄り道をした。
僕たちが店に落ち着いて、
30分ほどがたった頃、
ちょっと向こうのカウンター席に
僕よりすこし、年下の、
少女が居るのに気がついた。
その娘は肌触りの良さそうな、
黒いワンピースに身を包み、
真っ黒な髪を幼げに、
肩の辺りで切り下げていた。
ちょっと不機嫌そうな唇と
、まだあどけない雰囲気に、
僕はいつしか月へ帰った、
あの子うさぎの面影を、
その女の子に見出だしていた。
僕は少女の美しい肌と、
その未熟げな胸のふくらみに、
しばらく心を奪われていた。
僕は姉に急かされて、
店を出ようと言われた時まで、
その娘の事を、
考えていた。
その日から幾日かが過ぎ、
次第に受験も近付いてきて、
僕は勉強に追われていった。
ある冬の夜、僕は塾を終え、
凍える夜道を足早に、
家への帰り道を急いでいた。
家の前まで、やって来て、
僕は飛び上がるほど、驚いた。
なぜか家の、塀の所に、
あの女の子が背中をもたれ、
一人で立って居たのだった。
体は凍えてぶるぶるふるえ、
月に照らされたその顔は、
蒼白いまでになっていた。
その日は家族は出払っていて、
家には誰も居なかった。
僕は意味も解らずどうにかしようと、
凍えた彼女の手を取って、
家の中へ連れていき、
少女の冷たい体を、
そっと毛布でくるんであげた。
少女は小さく微笑んで、
その可愛らしい手のひらを、
僕の手の上に乗せてくれた。
僕はもう何だか解らず、
決まり悪そうに目をそらしていた。
僕の心臓は早鐘のように、
ますますはやく鼓動を続け、
体じゅうが火照って熱かった。
僕は電気をすこし、暗くして、
少女をかかえ、抱っこして、
布団に寝かせて あげようとした。
布団に寝かせた、その時突然、
少女は僕の背中に手を回し、
その柔らかな身体を寄せて、
僕の唇にキスをした。
驚く僕を差し置いて、
少女はその胸をぎゅっと押し付けて、
固く僕を抱きしめた。
その次の朝、目を覚ましたとき、
少女の姿は消えていた。
少女の寝ていた布団には、
細い子うさぎの茶色い毛だけが、
数本残っているだけだった。
高校生の頃だった、
僕が姉と飼っていた、
小さな可愛い子うさぎが、
突然息を引き取った。
僕は深い悲しみに暮れながら、
その安らかななきがらを、
町の外れの火葬場で、荼毘に臥そうと考えた。
うさぎの死んだ、次の夕
、僕は姉と車に乗って、
木々深まった火葬場へ、
その亡骸を預けにいった。
預けてしまった帰り道、
姉は静かに泣いていた。
愛していたあの子うさぎが、
今日には灰になっている
。僕はうさぎとの、楽しき日々を、
懐かしながら、思い出す。
その帰り道、
僕たちは、
家の近くの親しみのある、
ひっそりとしたカフェに
、寄り道をした。
僕たちが店に落ち着いて、
30分ほどがたった頃、
ちょっと向こうのカウンター席に
僕よりすこし、年下の、
少女が居るのに気がついた。
その娘は肌触りの良さそうな、
黒いワンピースに身を包み、
真っ黒な髪を幼げに、
肩の辺りで切り下げていた。
ちょっと不機嫌そうな唇と
、まだあどけない雰囲気に、
僕はいつしか月へ帰った、
あの子うさぎの面影を、
その女の子に見出だしていた。
僕は少女の美しい肌と、
その未熟げな胸のふくらみに、
しばらく心を奪われていた。
僕は姉に急かされて、
店を出ようと言われた時まで、
その娘の事を、
考えていた。
その日から幾日かが過ぎ、
次第に受験も近付いてきて、
僕は勉強に追われていった。
ある冬の夜、僕は塾を終え、
凍える夜道を足早に、
家への帰り道を急いでいた。
家の前まで、やって来て、
僕は飛び上がるほど、驚いた。
なぜか家の、塀の所に、
あの女の子が背中をもたれ、
一人で立って居たのだった。
体は凍えてぶるぶるふるえ、
月に照らされたその顔は、
蒼白いまでになっていた。
その日は家族は出払っていて、
家には誰も居なかった。
僕は意味も解らずどうにかしようと、
凍えた彼女の手を取って、
家の中へ連れていき、
少女の冷たい体を、
そっと毛布でくるんであげた。
少女は小さく微笑んで、
その可愛らしい手のひらを、
僕の手の上に乗せてくれた。
僕はもう何だか解らず、
決まり悪そうに目をそらしていた。
僕の心臓は早鐘のように、
ますますはやく鼓動を続け、
体じゅうが火照って熱かった。
僕は電気をすこし、暗くして、
少女をかかえ、抱っこして、
布団に寝かせて あげようとした。
布団に寝かせた、その時突然、
少女は僕の背中に手を回し、
その柔らかな身体を寄せて、
僕の唇にキスをした。
驚く僕を差し置いて、
少女はその胸をぎゅっと押し付けて、
固く僕を抱きしめた。
その次の朝、目を覚ましたとき、
少女の姿は消えていた。
少女の寝ていた布団には、
細い子うさぎの茶色い毛だけが、
数本残っているだけだった。
感想
感想はありません。