私の婆ちゃん
私の婆ちゃんは甘い物が好き
だから真ん丸太っている
目が悪くて眼鏡をかけてた
手術をして眼鏡もしなくなった
綺麗にお化粧なんてしない
飾ったりする事が嫌いだから
髪も短髪で絶対に長くしない
染めたりしないから
少し白髪混じり
だけど服はきちんとしてる
何処にも出掛けないのに
家の中でもお洒落してる
サバサバとした性格で
誰にもこびず男っぽい感じ
そんな婆ちゃん家に行くと
婆ちゃんは ようきたね。
と言いながら優しく私を
抱きしめる。毎回、毎回
私はその度泣きそうになる
優しくて優しくて…
嫌な事も忘れてしまう
婆ちゃんは台所に立たない
座椅子にずっと座りっぱなし
座ったまま立たずに
お菓子を取るなり
たべなさい。と私に言う
私にたべなさいと言いながら
婆ちゃんが一番食べている
婆ちゃんは和菓子が好き
こんな甘い物が好きだから
丸々太ってしまうのだ
婆ちゃんは入れ歯
歯はたぶんないのだろう
婆ちゃんが病気だったのは
昔から知っている
でも辛い顔は見たことない
婆ちゃんは仏壇の前で寝る
私が二階に寝ていても
ゴジラの様な婆ちゃんの
鼾は永遠と響き渡る
どうしたらそんなに
鼾がでるのかわからない
婆ちゃん私帰るね
その度にさびしくなる
婆ちゃんは外まで出てきて
私の背中が見えなくなるまで
ずっと手を振り続ける
婆ちゃんが入院した
私は病室へ入った
ようきたね。
私を優しく抱きしめ言った
婆ちゃんは意外にも
元気そうにしていた
次に病室へ入ったのは
一週間後
婆ちゃんじゃなかった
ようきたね。と言い
抱きしめてくれない
生かされているだけの
植物人間状態
きっとあの日から
元気ではなかった
見ている事が辛かった
息を引き取った後
婆ちゃんの目に
一筋の涙が流れた
婆ちゃんは何でそんなに
私に優しくしてくれるの?
何で何度も抱きしめたの?
何も理由なんてないのかな
最後の涙の理由は何?
もう一度あいたい
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