悪魔の天使 (54)
「ね?ほら、もういいでしょ?」
ルカは少し子供っぽい笑みを浮かべて、首を傾げた。
そして、腕を絡めると歩き出しそうとする。
しかし、レクスは動かなかった。
「ん、何?」
上目にレクスを見上げ問うと彼は何も言わずに歩き出した。
「――っ!?ちょっ、ディル!?」
「残念だけど俺は君のディルじゃない。レクスだよ。」
「――っ!!やだぁっ!!ねえ!ねえってば!!」
喚くルカを半ば無理矢理連れて歩く。
(流石にうるさい!!)
そう思い、腕を離し引き寄せる。
彼女の唇に自分のそれを重ねた。
「んんっ!?」
驚くルカをよそに繋がりを深くすると相手から求めてきた。
「ん…ふぁ……。ん…ぁ…ディル……。」
リアの甘い声で他の男の名を呼ぶ。
それが苛ついた。
だから突き放すようにしてルカを離す。
「ほら、行くよ。」
ルカ、と呼ぶと彼女は嬉しそうに笑った。
(ごめんね、リア。)
「ルカ」と呼んだその瞬間から「リア」を否定してしまったような気がして、「リア」の反応が怖くて謝る。
――リア、どこにいる?
「…レク……?」
真っ暗な闇の中で愛しい人を呼んだ。
しかし、何も返ってはこない。
「ルカ…どうしてこんなこと。」
小さく呟くと声が聞こえた。
「ルカ。愛している。泣かないで。恨むのならこの裏切り者を恨んで。」
「…ディル……?」
レクスによく似た彼、ディルはリアを認めると抱き寄せた。
最初こそ驚いて声も出なかったが、はっと我にかえると勢い良く押し返そうとした。
「ごめん。『リア』。」
「――っ!?」
彼は『ディル』ではなくリアの知っている『レクス』だった。
「…レク……。」
彼に手を伸ばして顔に触れる。
笑顔、声、仕草。
全てリアの知っている、大好きな…
「レク……!」
でも、違和感があった。
『ふぅん。リアはMなんだ。安心しなよ。いじめはしない。焦らすだけだよ。』
彼の時々見せる、少しからかうような笑み。
(優しいけど私が欲しいのは違う。レクはもっと意地悪……。)
「…そっか。じゃあ、君が『ルカ』になってくれる?」
突然引き寄せられた。
荒々しい口づけにリアは反応が遅れる。
相手と相手から送り込まれた異物の侵入を許してしまった。
「さあ、リア、ルカになろう。」
ディルがくすっと笑う。
意識が、リアの心が『眠った』。
ルカは少し子供っぽい笑みを浮かべて、首を傾げた。
そして、腕を絡めると歩き出しそうとする。
しかし、レクスは動かなかった。
「ん、何?」
上目にレクスを見上げ問うと彼は何も言わずに歩き出した。
「――っ!?ちょっ、ディル!?」
「残念だけど俺は君のディルじゃない。レクスだよ。」
「――っ!!やだぁっ!!ねえ!ねえってば!!」
喚くルカを半ば無理矢理連れて歩く。
(流石にうるさい!!)
そう思い、腕を離し引き寄せる。
彼女の唇に自分のそれを重ねた。
「んんっ!?」
驚くルカをよそに繋がりを深くすると相手から求めてきた。
「ん…ふぁ……。ん…ぁ…ディル……。」
リアの甘い声で他の男の名を呼ぶ。
それが苛ついた。
だから突き放すようにしてルカを離す。
「ほら、行くよ。」
ルカ、と呼ぶと彼女は嬉しそうに笑った。
(ごめんね、リア。)
「ルカ」と呼んだその瞬間から「リア」を否定してしまったような気がして、「リア」の反応が怖くて謝る。
――リア、どこにいる?
「…レク……?」
真っ暗な闇の中で愛しい人を呼んだ。
しかし、何も返ってはこない。
「ルカ…どうしてこんなこと。」
小さく呟くと声が聞こえた。
「ルカ。愛している。泣かないで。恨むのならこの裏切り者を恨んで。」
「…ディル……?」
レクスによく似た彼、ディルはリアを認めると抱き寄せた。
最初こそ驚いて声も出なかったが、はっと我にかえると勢い良く押し返そうとした。
「ごめん。『リア』。」
「――っ!?」
彼は『ディル』ではなくリアの知っている『レクス』だった。
「…レク……。」
彼に手を伸ばして顔に触れる。
笑顔、声、仕草。
全てリアの知っている、大好きな…
「レク……!」
でも、違和感があった。
『ふぅん。リアはMなんだ。安心しなよ。いじめはしない。焦らすだけだよ。』
彼の時々見せる、少しからかうような笑み。
(優しいけど私が欲しいのは違う。レクはもっと意地悪……。)
「…そっか。じゃあ、君が『ルカ』になってくれる?」
突然引き寄せられた。
荒々しい口づけにリアは反応が遅れる。
相手と相手から送り込まれた異物の侵入を許してしまった。
「さあ、リア、ルカになろう。」
ディルがくすっと笑う。
意識が、リアの心が『眠った』。
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