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見つめる先…?

[346]  七海  2005-12-18投稿
二人だけの秘密は誰にも言えない。特に、お母さんには…自慢ではないけど、これでも頭はいい方。学年二位になったことも一度ある。だから、もちろんお母さんは、わたしがコイツと関係してることなんてなにも知らない。きっと、わたしのことを真面目で純粋な、男とは無縁の娘だと思ってるだろう。そこまで思ってなくても、確実にコイツの家に泊まりに行ってることは知らない。もちろん、そこでなにをしているかも……。
そんなこと知れたら、本気で殺されるかもしれない。
 国語の授業が嫌い。当たり前の日本語ばかり並べる。国語の授業には魅力を感じなかった。まるで、小学校の授業だ。
━━みんな、そんなに笑って何が楽しいの?
 いつもの風景。いつもの匂い…いつもの温度。自分の体温がコイツによって取り戻されていくのがわかった。
            煙草を吸うと、眉間にシワを作るいつものクセ━━。            「あれから、考えてたんだけど…」「なにを?」「この世で一番怖いもの…。」━━小さい時に感じた胸のドキドキ。
「なに?」「死ぬことかも…」「死ぬこと?」「うん。」「……。」
━━震えが止まらない。
「死んでお前と一緒にいれなくなること。」「……わたしも。」
━━初めてコイツについた嘘。死ぬことなんて恐くなかった。ただ、コイツがいない世界で生きて行く方が怖いと思った。

もし、コイツが死んだら。きっと、コイツの周りの人間は泣き続ける。でも、時間が経てば、いつかコイツのことは忘れて、笑顔は戻って、いつもの生活と変わらない毎日が繰り返される。わたしも、いつかはいつもの生活を取り戻す。嫌いな授業をサボり、同じ風景をこの場所から眺め……。コイツだけがわたしの隣にはいない毎日……。でもそれじゃ、ダメだよ。わたしの人生にコイツがいないと意味なんてない。

9月も、もう終りに近いのに暑すぎ…。

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