携帯小説!(PC版)

トップページ >> ホラー >> 終電間近

終電間近

[1166] ケィ。 2012-04-06投稿
電車が揺れる

隣には女がひとり。




友人Fの悩み相談が、そもそもの始まりだった。

「でも、ただの夢だろ?」

「不気味だと思わないか?
見た事もないのにさ、決まって、触れそうなくらいハッキリ"見える"んだ。


布団でも、単なる居眠りでもいいや、とにかく眠くてウトウトしてくると、決まってソイツが出て来るんだ。

昔、覚えてないくらい小さい時に、映画か何かで見てトラウマになってたのかも知れないけどさ、

それにしても今さら…
いや、別に何でもいいんだけど、ソイツのせいで、毎晩うなされるんだよ。


別にソイツが夢で何かやらかすとかじゃないけどさ、

眠る前に目を閉じるとソイツがそこにいて、その後は決まって救いようのない悪夢なんだ。」



「まぁ…考えないようにするこったな、ソイツの事を。」


「そうなんだけどさ…どうしても無理なんだよな。
紫の鏡みたいにさ。」


「何だっけ?それ。」




Fは、そのうちぼんやりしてる事が多くなった。
俺はそれを不眠症のせいだと思っていたし、F自身も自分の変化に気づいていたかどうかわからない。


Fはある時、自分の部の顧問をしていた女教師を、相談があるからと呼び出した。


いや、それはただFがそう言っていただけで、二人だけで、学校の外で会っていたのだから、ただならぬ関係だったんじゃないかと、周囲は噂した。


その女教師は、変死体で見つかった。
首から上を徹底的に潰されており、身元を解らなくするためというよりは、余程強い恨みがあったんだろうと、元警察関係者がワイドショーで言っていた。


Fは、何故こんな事をしたのか、自分でもわからない、と供述したそうだ。



だけど俺にはわかる気がする。

あの日から、俺も







隣には女がひとり。

電車が揺れても目を覚まさない。
他に車両に誰もいない。

後で捕まるかも知れないけれど、邪魔する奴はいない。

俺も、Fの見たソイツを、触れそうなほどはっきり見ていた。
毎晩毎晩。

正直迷惑で、悪夢と寝不足で残虐な事に対するリミッターの外れた頭で時々考えている。


ソイツをコロシたい。

どうすればコロセルだろう?

顔のない女を。





感想

感想はありません。

「ケィ。」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス