携帯小説!(PC版)

愛病 1

[616]  2012-04-13投稿
私達はいつから一緒に暮らしているのだろう。
私は生まれ落ちた時から、貴方と一緒にいる気がしてならない。


「ミサキ、おはよう。」
太一は、いつも通りにそう言って私を起こした。
外は明るかった。
私が、うーんと伸びをしているのを太一は横で見ていた。
彼は微笑み、私の頭をそっと撫でた。
『おはよう。太一。』

彼は、ベッドからおり洗面所へと消えた。
私もベッドからおり、カーテンを少し開けた。
季節は冬。
床が冷たかった。
ゆっくりと、やわらかな光が全身を温める。
また、今日が始まる。

彼がいつの間にか部屋に戻ってきていた。
彼は、私の傍に来てカーテンを全て開け放ち、部屋全体に光を注いだ。
広い部屋ではないが、2人で暮らすには十分だった。

「今日は休みだからどこかへ行こうか。」
彼がベランダ越しの晴れた空を見ながら提案してきた。
『どーせ、行くっていつもの公園でしょ?』
クス‥っ!
彼は笑った。
笑うと目尻にしわができ目がすっと細くなる。
そんな彼の笑顔が、私は大好きだった。

2人で遅い朝食を食べた後、私はベッドの隅に座った。
ベッドは窓の近くにあるため、そこはよく日が当たるのだ。
太一が横に座ってきた。
そして、私を抱き締めた。
私は、この時間が1番好きだった。
しかし最近、太一は仕事が忙しかったらしく朝はあまりゆっくりできなかった。
2人でゆっくりするのは本当に久しぶりだった。
彼は優しく私を包み込み、ぬくもりをくれる。
『あったかい。』
私がそう言うと
「あったかいねー。」
と彼は答え、嬉しそうに笑った。

彼の腕の中が1番落ち着く、そんなことを考えていると彼は突然
「あ‥‥!」
と言った。
驚いて彼を見上げると
「‥‥ミサキに渡したいものがあるんだよ。」
彼はそう言って立ち上がり、戸棚から小さな箱を持ってきた。

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