屋根の上 5
長瀬一美。
役割:野次馬2。
「何か警察の人が首捻ってたよ。私も詳しくは知らないんだけど、仄原君の、その、、し、死体?に不信な所があるんだって」
3年2組の教室前。
水素の様に軽い口で
長瀬先輩は言った。
秋も深まったこの時期に、浮わついた噂話に花を咲かせるのは如何なものか。
一応受験者だろ。
僕は苦笑を禁じ得ず、彼女の話に耳を傾ける。
「不信な点?
死亡推定時刻と盲目な事以外で?」
「うん。
最近めっきり冷え込んでるじゃない?特に夜とか。
なのに仄原君、発見された時ロンT一枚しか着てなかったんだって」
謎?
死体の服装。
木本優哉。
役割:野次馬3。
「警察の動き?ああ、それなら知ってるぜ。何せ通学路にうようよいるんだから。嫌でも目につくよ」
渡り廊下にて。
僕の通う私立岬学園は、この地域で一番大きく、レベルの高い高校だ。
その校舎は戦前に出来た東校舎と、最近になって改装された西校舎とに別れている。
それを繋ぐのが、僕と木本のいる渡り廊下だ。
だから校舎は、空から見るとアルファベットの「H」の形をしている。
「思うように捜査が進まないらしいな。周辺地域に聴き込みをしてた警官がぼやいてたぜ」
「聴き込み?」
「何だ、知らねーの?
ミヤが死んだ時間以前の目撃情報がないか、周辺住民に聴き込みをしてるんだ」
「へえ、そうだったんだ。で、警官は何をぼやいてたの?」
「そりゃ決まってるだろ。目撃情報の少なささ。深夜1時以前なんて、まだまだ街は活動中だろ?なのにまともな情報が一つもないんだと」
謎?
目撃情報の少なさ。
謎は深まるばかり。
感想
感想はありません。