スター・ウィッシュ?
1、のどかな一時
ここは何の変哲もない小さな町。他の町とただ一つ違うのは、大きなお城のような建物があるだけ。そのお城からは、いつものように賑やかな声が聞こえていた。三人しか住んでいないというのに。
ある昼下がりのこと。その豪邸のお嬢様、山崎否夜乃はメイドの赤嶋理恵にお使いを頼まれた。
「…お嬢様、お暇でしたらお使いに…」
「買い物ぅ?」
不満そうな顔をするひよのだが、次の言葉に顔が引きつってしまった。
「あ、俺も行くよ。お嬢様一人だと危ないからな」
声の主は小谷李句だった。ひよのの執事をしている。そして、ひよのにとって恋人とも言えよう。
「あら、リク君。じゃ、リク君に──」
「私も行く」
リクが行くとなれば話は別だ。そして何より、二人きりになれるチャンスなのだから、みすみす逃せる訳がない。こうして、ひよのはリクと二人で行くことになった。
家を出て少し歩くと、ふいにひよのが口を開いた。どこかはしゃいだような印象を受ける声だ。
「なぁ、リク。何を買いに行くのだ?」
「そーだなぁ、リエは牛乳とパンだって言ってたぞ」
リクは慣れているのか、顔色一つ変えない。こうして並んで歩いていると、まるで恋人同士のようだ。突然ひよのがピタリと足を止めた。
「な、なぁ、リク」
「ん? どうした?」
ひよのは緊張紛れに声を出した。リクは首を傾げ、ひよのの言葉を待つ。
「あ、あのな、ここはどこなのだ?」
「え?」
ひよのに言われ、気づくリク。キョロキョロと首を左右に動かし、辺りを見回すと、スーパーが目に入った。この辺はリクは良く来るが、ひよのは初めてかもしれない。と、その時…
「げ! ひよののチビなお嬢様じゃねぇか。何でいんだよ!」
後ろから声がかかった。声からして少年のようだ。その言葉に振り返りながら、ひよのは言い返す。
「う…うるさい! これから伸びるに決まっておろう! 大体、お前だって小さかろう!」
「千原竜か…お嬢様の婚約者の」
リクが顎に手をあて、しみじみ言うと、二人は同時に言った。
「「好きで婚約者なわけじゃない!」」
ここは何の変哲もない小さな町。他の町とただ一つ違うのは、大きなお城のような建物があるだけ。そのお城からは、いつものように賑やかな声が聞こえていた。三人しか住んでいないというのに。
ある昼下がりのこと。その豪邸のお嬢様、山崎否夜乃はメイドの赤嶋理恵にお使いを頼まれた。
「…お嬢様、お暇でしたらお使いに…」
「買い物ぅ?」
不満そうな顔をするひよのだが、次の言葉に顔が引きつってしまった。
「あ、俺も行くよ。お嬢様一人だと危ないからな」
声の主は小谷李句だった。ひよのの執事をしている。そして、ひよのにとって恋人とも言えよう。
「あら、リク君。じゃ、リク君に──」
「私も行く」
リクが行くとなれば話は別だ。そして何より、二人きりになれるチャンスなのだから、みすみす逃せる訳がない。こうして、ひよのはリクと二人で行くことになった。
家を出て少し歩くと、ふいにひよのが口を開いた。どこかはしゃいだような印象を受ける声だ。
「なぁ、リク。何を買いに行くのだ?」
「そーだなぁ、リエは牛乳とパンだって言ってたぞ」
リクは慣れているのか、顔色一つ変えない。こうして並んで歩いていると、まるで恋人同士のようだ。突然ひよのがピタリと足を止めた。
「な、なぁ、リク」
「ん? どうした?」
ひよのは緊張紛れに声を出した。リクは首を傾げ、ひよのの言葉を待つ。
「あ、あのな、ここはどこなのだ?」
「え?」
ひよのに言われ、気づくリク。キョロキョロと首を左右に動かし、辺りを見回すと、スーパーが目に入った。この辺はリクは良く来るが、ひよのは初めてかもしれない。と、その時…
「げ! ひよののチビなお嬢様じゃねぇか。何でいんだよ!」
後ろから声がかかった。声からして少年のようだ。その言葉に振り返りながら、ひよのは言い返す。
「う…うるさい! これから伸びるに決まっておろう! 大体、お前だって小さかろう!」
「千原竜か…お嬢様の婚約者の」
リクが顎に手をあて、しみじみ言うと、二人は同時に言った。
「「好きで婚約者なわけじゃない!」」
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