†消えぬ苦しみ†3
それから零烏と鈴は一緒に暮らすことになった
零烏は鈴用の寝床を用意したり木の実などを採ったりしていた
鈴はそんな零烏の傍にいるだけだった
それからだいぶ月日が経ち鈴はどんどん成長していった
「お兄ちゃん!男の子が倒れてる!」
鈴が大声で零烏を呼ぶと零烏が走って駆け付け少年を見た
「…足を怪我してるな」
その男の子は短い赤髪の少年だった
左足を怪我して気を失っているようだ
零烏はその少年を抱き上げ自分の住みかに向かって歩いた
住みかに着きその少年を寝かせ
「鈴、俺は薬草を探してくるからこの子の傍にいといてあげてくれ」
「わかった!」
それから零烏は住みかを出ていった
鈴は心配そうに少年を見ていた
「……うっ…うぅ…」
少年が呻き声を出し薄く目を開けた
「あっ!起きた?大丈夫?」
「ここは…?痛…」
「まだ起き上がらないほうがいいよ?今お兄ちゃんが薬草を探しに行ってくれてるからね」
少年は立ち上がろうとしたがその言葉を聞きやめた
「お前は誰だ…?」
「私?私は鈴っていうの♪君は?」
「りん?俺も燐(りん)という」
「えっ私と一緒だ!」
そんな話をしていると零烏が帰ってきた
「おっ起きたか。今足を手当てしてやるからな」
零烏は燐の傍に座り薬草を塗り込んだ
「お兄ちゃん!この人もりんっていうんだって!私と一緒なの♪」
「へーそうなのか!偶然だな」
「うん。このまま安静にしていればいいだろ」
「有難う…そういえばあんたの名前は?」
「俺か?俺は零烏だ。よろしくな燐」
そんな会話をしながら鈴はさらに家族が増えたみたいに嬉しそうにしていた
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