青春カルテ5
「「誰だ。お前は?」」
名も知らない、少女……いや幼女と表した方が合っているかもしれない、ぶかぶかの白衣を着て、サーターアンダギーを持っている幼女は俺の顔を見て
「……何だい?その間抜けッ面は」
「産まれて15年、ずっとこの顔ですが……ていうかあなたは?」
すると、幼女は口にサーターアンダギーをほおりこみ、保健室の一番奥にある保険医の机の上にどすんと座った。
「私は、『黒坂 恵』。皆からは『クロエ先生』などと呼ばれている……この保健室の先生だ!!」
彼女は板のような胸を、限界まで張り、先生用の名札を見せつける。
「まずは君の名前を聞いておきたいのだが…教えてくれないか?」
「白木 命です……」
「ああ!思い出した、思い出した。忍から聞いてるよー。ごめんな昨日いなくて」
「……えっと…先生は出張中だったんですよね?」
まぁ出張中なら仕方ないだろう。
「……ぁあ!そうだとも!私はとても大変なオペに駆り出されてだな……」
「クロエ先生、帰ってたんですか」
八王子先輩がカーテンから顔を覗かせる。
「白馬!おはよう!いつも早いなっ」
聞いた事のない単語が出る。
「白馬?」
「ん?聞いてないかい?こいつの本名は『八王子 白馬』というのだぞ?顔にあわない爽やかな名前だ」
ケラケラとクロエ先生は笑う。
「……クロエ先生、父上のぎっくり腰はどうでしたか??」
「ぎっくり腰?」
「なんだ?知らないのか?クロエ先生は昨日、親がぎっくり腰になったと聞いて故郷の沖縄に帰っていたんだ」
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