携帯小説!(PC版)

寺の鐘

[327] 比呂 2012-08-19投稿
寺の鐘夕暮れ時や秋の山

逆上せたる頭を冷やす芭蕉かな

朝早く挨拶したる瓢かな

文月や夜の問答多きこと

此処其処と友と笑ひて草じらみ

山葡萄紫色の獣道

鵙鳴けば夜叉も戦く処かな

ただそっと筆運びたる夜学かな

幻想を描きたがるや秋の夜

俯きて畦道歩く秋の暮

芋掘りて生命感ずる手のひらや

鰯雲いよいよ棲むや最上川

虫たちやけふも叫びて夢うつつ

葛の葉や向こう三軒茶屋の庭

枝豆の八百屋に暫し奉公や

落鮎の群れを探して川往けり

苦しみの闇の前なり赤蜻蛉

遠かりき山の端見ゆる蝗かな

草臥れて稲穂を見やる車窓かな

稲妻や閃光走りて何示す

白菊の無垢なることを教えけり

青春の愛しき人や秋海棠

新涼や夕暮れ時の商店街

高円寺一駅乗りて荻の里

初秋や行き交ふ人の波と波

分け隔てなき心あり相撲取

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