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ハワイアン・トリップ

[261]  けん  2006-09-18投稿
マスターベーションも佳境に入る頃、僕の頭は格段に冴えてしまう。そういったことが、ごくまれにある。
ある時は、どこの家族のものとも知れぬ、複雑な構成の家系図が、詳細に頭に描かれたりした。
またある時は、自分の過去の分岐点的な出来事についての、反省と対策が、念入りに講じられたりもした。
これらのことは、頃合を見計らって、瞬時に頭に浮かび上がってくる。そのため、本来の目的を達成できないということも、しばしばあった。
そういった能力で、あるいは要領で、僕は3日前にハワイへ行った。
 一年間のうちで、晴れの日よりも雨の日が多い島、カウアイ島へ。

 派手な色をした木々や草花、くちばしの長い変な鳥。浜辺ではサーファーたちが、それぞれに好みの波を見つけては駆け寄って行く。
僕はデッキチェアにもたれて、そんな光景を静かに見ていた。圧倒的な青の中に放り込まれた僕は、内心、何をすればいいのかわからなかったのだ。その日に雨が降っていたのかどうかは、覚えていない。

意識が次第に現実の世界を取り戻し、僕は部屋のベッドで横になっていた。
気がつくと、空いているほうの手のそばに、自分の携帯が転がっている。
その液晶画面には、このような文章が写っていた。

 「荷物のことは業者に頼んでるし、必要な書類は私が書いておいたから。あとはあなたが判をおすだけ。今までありがとね。さよなら」

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