餓鬼 5
時計が4時を過ぎた頃、由梨絵は帰り支度を始めた。
玄関の外まで見送ると、由梨絵は振り向いて、「良かったら明日、私のアパートに来ない?喜美さんの家みたいに綺麗じゃないけど。」
由梨絵は遠慮がちに言った。
「行かせて頂きます!」
喜美は本当に嬉しそうな顔をした。
「午前中は出掛けるから、2時位でどうかしら?葉月荘はわかる?」
そう言うと、由梨絵はバックからメモとペンを取り出して、簡単な地図と部屋番号を書いて喜美に渡した。
「大丈夫!この地図でわかります。」
由梨絵は小さく手を振って帰って行った。
喜美は後ろ姿を見ながら、呟いた。
「綺麗な家ねぇ…確かに広いけど、お掃除大変なのよね。」
ちょっと溜め息をついて家の中に入って行った。
由梨絵はどんな暮らしをしているんだろう?
きっとシンプルで掃除の行き届いた部屋だろう、そんな事を考えていた。
土曜日、ケーキを買い、地図を見ながら由梨絵のアパートへと向かった。
葉月荘は直ぐに見つかった。
二階に上がり、一番奥の部屋。
ノックすると、由梨絵が玄関を開け、喜美を招き入れた。
「いらっしゃい!直ぐにわかったかしら?」
「わかりました!これ、一緒に食べようと思って。」ケーキを由梨絵に渡して部屋に入った。
「まぁ、ありがとう!珈琲入れるから、座ってて。」
部屋は喜美が想像した通り、シンプルで綺麗に掃除されていた。
部屋の隅に小さなお仏壇が有り、写真が立ててあった。
この男性が、ご主人なんだわ。
爽やかな笑顔の優しそうな男性だった。
「亡くなった夫なの。」
後ろで声がした。
テーブルにケーキと珈琲を置きながら由梨絵が言った。
「優しそうな方ですね」
喜美が言うと、
「優しい人だったわ。沢山の思い出をくれたわ。とても私を愛してくれたし、大切にしてくれたの…」由梨絵は目に涙を浮かべていた。
「由梨絵さん…」
喜美は掛ける言葉を失った。
由梨絵は棚からアルバムを取り出して来た。
「私達の想い出よ…喜美さん、見てくれる?」
喜美は身を乗り出した。
「良いの?是非、見たいわ!」
殆どが二人で、後は夫が一人で写っていた。
写真を見ながら、喜美は変だわ…と思った。
どの写真も由梨絵は満面の笑顔なのに夫の方は、無表情なのだ。
楽しくないみたいだと、喜美は思った。
玄関の外まで見送ると、由梨絵は振り向いて、「良かったら明日、私のアパートに来ない?喜美さんの家みたいに綺麗じゃないけど。」
由梨絵は遠慮がちに言った。
「行かせて頂きます!」
喜美は本当に嬉しそうな顔をした。
「午前中は出掛けるから、2時位でどうかしら?葉月荘はわかる?」
そう言うと、由梨絵はバックからメモとペンを取り出して、簡単な地図と部屋番号を書いて喜美に渡した。
「大丈夫!この地図でわかります。」
由梨絵は小さく手を振って帰って行った。
喜美は後ろ姿を見ながら、呟いた。
「綺麗な家ねぇ…確かに広いけど、お掃除大変なのよね。」
ちょっと溜め息をついて家の中に入って行った。
由梨絵はどんな暮らしをしているんだろう?
きっとシンプルで掃除の行き届いた部屋だろう、そんな事を考えていた。
土曜日、ケーキを買い、地図を見ながら由梨絵のアパートへと向かった。
葉月荘は直ぐに見つかった。
二階に上がり、一番奥の部屋。
ノックすると、由梨絵が玄関を開け、喜美を招き入れた。
「いらっしゃい!直ぐにわかったかしら?」
「わかりました!これ、一緒に食べようと思って。」ケーキを由梨絵に渡して部屋に入った。
「まぁ、ありがとう!珈琲入れるから、座ってて。」
部屋は喜美が想像した通り、シンプルで綺麗に掃除されていた。
部屋の隅に小さなお仏壇が有り、写真が立ててあった。
この男性が、ご主人なんだわ。
爽やかな笑顔の優しそうな男性だった。
「亡くなった夫なの。」
後ろで声がした。
テーブルにケーキと珈琲を置きながら由梨絵が言った。
「優しそうな方ですね」
喜美が言うと、
「優しい人だったわ。沢山の思い出をくれたわ。とても私を愛してくれたし、大切にしてくれたの…」由梨絵は目に涙を浮かべていた。
「由梨絵さん…」
喜美は掛ける言葉を失った。
由梨絵は棚からアルバムを取り出して来た。
「私達の想い出よ…喜美さん、見てくれる?」
喜美は身を乗り出した。
「良いの?是非、見たいわ!」
殆どが二人で、後は夫が一人で写っていた。
写真を見ながら、喜美は変だわ…と思った。
どの写真も由梨絵は満面の笑顔なのに夫の方は、無表情なのだ。
楽しくないみたいだと、喜美は思った。
感想
感想はありません。