迷子の部屋
僕の部屋には扉が無い。
あるのは、真っ白な部屋に真っ白な机とベッドと小さな窓がひとつ。
産まれてから10年、一度も外に出たことがない。
学校にも行けないから、字なんて読めない。
でも、知ってる言葉が1つだけある。
『ココカラダシテ』
どういう意味をしているかは知らないが、僕が唯一発せられる言葉。
だから、いつか窓の外にいる人が僕という存在に気づいてくれるよう。
僕は今日も
『ココカラダシテ』
と窓に向かって言う。
「ココカラダシテ…」
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