携帯小説!(PC版)

餓鬼 9

[865] 紗依枯(さいこ) 2012-09-08投稿
谷岡病院の調理場。
由梨絵の職場である。

慌ただしい配膳を終わらせ休憩していた由梨絵に同僚が話し掛けた。

「松木さん、お孫さんはまだなの?」
由梨絵はちょっと困った様な顔をして答えた。
「喜美がまだまだ子供だから、今、子供が出来たら私が大変だわ!」
そう言うと、ポケットから携帯を取り出した。
「あら!娘さんの写真?可愛いわね!」
横から覗いて同僚が言った。
「私に似てないでしょう?主人の方に似てるのよ。」ニコニコしながら由梨絵は話した。
「あら!もうこんな時間!帰りに娘の家に寄らなくちゃならないの。娘が待ってるから帰るわ!」
慌てて更衣室に向かいながら、同僚達に手を軽く振った。
「松木さん、最近明るくなったわね。やっぱり娘さんが近くに越して来たから嬉しいんだわ。ご主人亡くされて娘さんも嫁いで寂しかったでしょうからね。」
同僚達は由梨絵の言葉を信じて、元気になった事を喜んでいた。

由梨絵が喜美の家に着くと丁度、中から人が出てきた。
「それじゃあ、又!」
その女性は喜美に手を振り、外にいた由梨絵に気がつき、会釈して帰って行った。
「どなた?」
由梨絵が聞くと、
「お向かいに越して来た安藤さん。ご挨拶に来て下さったの!私と年齢も近いし、仲良くなれそうで嬉しいわ!」
と、喜美は本当に嬉しそうに言った。
「そう…。お話しが合うと良いわね。」
喜美は同年代の友人が出来た事に浮かれて、由梨絵の顔から笑顔が消えた事には気が付かなかった。
喜美の家を後にした、安藤は由梨絵が気になっていた。
「あの女性、どこかで見た気がするわ…。どこだったかしら。」
目を閉じて思い出そうとしたが結局、わからなかった。

その頃、喜美は由梨絵に安藤の事を話していた。

「安藤さんは看護師さんなんですって。大変なお仕事よね。確か、由梨絵さんも病院に勤めてるんじゃなかった?
同じ病院だったりして!」喜美は笑いながら言ったが、由梨絵は驚いて目を見開いた。
が、直ぐにいつもの笑顔に戻って「病院も多いからどうかしら?それに私は調理場だから。安藤さんはどちらの病院にお勤めか聞いた?」
喜美は首を振った。
「病院の名前は聞いてないの。」
「私を知らないみたいだったから、きっと違う病院でしょ。」
由梨絵はその話題から離れたかった。

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