兵(つわもの)
序章
1185年 壇ノ浦
潮騒が戦場を包み、雄叫びと剣檄が波間に消えていく。栄華を極めた平家一門の歴史が終ろうとしていた。
「我が死への旅路、共に参れ!!」
清盛亡き後、平家を率いていた知盛が源氏の兵士二人を道連れに沈んでゆく。知盛だけでは無い。平家の名を持つ者もそうでない者も皆平等に身を投げてゆく。
「………………」
その様子を眺めながら、荒谷宗兵衛は静かに太刀を収めた。
「最早、ここまでか。」
実質的な総大将であった知盛が死んだ今、源氏の勝利は確実となり、同時に平家の滅亡も確定した。
冷めた瞳で水面を見つめ、次の瞬間には飛び込んでいた。身に着けた鎧は重く、もがかなければ体が浮き上がる事はない。冷たいと感じたのは最初だけで、それ以降は感覚が消えてゆくのが分かった。
「………………」
静かだった。暗く何も無い漆黒の世界に安らぎさえ覚えている自分がいて、それ以外には何もない。これが死だというのなら、悪くは無いかもしれない。
遠くなる意識の彼方で微笑み、宗兵衛は闇に沈んでいった。
1185年 壇ノ浦
潮騒が戦場を包み、雄叫びと剣檄が波間に消えていく。栄華を極めた平家一門の歴史が終ろうとしていた。
「我が死への旅路、共に参れ!!」
清盛亡き後、平家を率いていた知盛が源氏の兵士二人を道連れに沈んでゆく。知盛だけでは無い。平家の名を持つ者もそうでない者も皆平等に身を投げてゆく。
「………………」
その様子を眺めながら、荒谷宗兵衛は静かに太刀を収めた。
「最早、ここまでか。」
実質的な総大将であった知盛が死んだ今、源氏の勝利は確実となり、同時に平家の滅亡も確定した。
冷めた瞳で水面を見つめ、次の瞬間には飛び込んでいた。身に着けた鎧は重く、もがかなければ体が浮き上がる事はない。冷たいと感じたのは最初だけで、それ以降は感覚が消えてゆくのが分かった。
「………………」
静かだった。暗く何も無い漆黒の世界に安らぎさえ覚えている自分がいて、それ以外には何もない。これが死だというのなら、悪くは無いかもしれない。
遠くなる意識の彼方で微笑み、宗兵衛は闇に沈んでいった。
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