因果…らりるれろ 2
【レクイエム】
「ムーンライト・セレナーデ」を聴きながら、スヤスヤ寝ている栞を見ながら涼子は呟いた。
「亜紀がいつも聴いてたの、着信音もこの曲だったわ…
栞ちゃんも好きなのね。
もしかしたら、栞ちゃんは本当に亜紀の生まれ変わりじゃないの?」
傍で聞いていた雄二は顔色を変えた。
「いつまでも、亜紀、亜紀って…
もう、いい加減にしてくれ!栞は俺達の子供だ!」
あまりの剣幕に涼子はびっくりしたが、直ぐに謝った。
「ごめんなさい。
気を悪くしないで頂戴。
そうよね、栞は栞だもの。もう言わないわ…」
涼子に返事もせず、雄二は部屋を出た。
ベランダで煙草に火を点けて降りだした雨を見ていた。
2年前のあの日も雨が降っていた。
雄二は、遊びで付き合っていた奈緒美と別れる為に公園にいた。
そんな事とは知らない奈緒美は嬉しそうに走って来て雄二に抱きついた。
「雄ちゃん、こんな時間に呼び出したりしてどうしたの?
私は嬉しいけどさ!」
涼子には莫大な遺産が有るが、女としては奈緒美の方が魅力的だった。
今すぐ別れなくてもイイか…
いつも、そうだ。
何度も別れようとしたが、結局、言えないのだ。
奈緒美を抱き締めて、
「急に逢いたくなったんだ。」
口から出るのは、別れとは全く違う言葉だった。
亜紀は残業でいつもより帰りが遅くなってしまった。
近道をしようと公園へ入って行き、雄二と奈緒美を目撃してしまった。
「…何してるの?!」
思わず、叫んでしまった。
振り向いた雄二は、咄嗟に奈緒美を突き放した。
「あ、…亜紀ちゃん、違うんだ!誤解なんだ!」
踵を返して、亜紀は走って行った。
ポツポツ降りだした雨が、どんどん酷くなってきた。
歩道橋をかけ上がり、雄二を見下ろし叫んだ。
「姉さんを騙してたのね!絶対、許さない!
結婚なんてさせないから!」
そう言うと、雄二に背を向け歩道橋を降りようとした。
「…邪魔させるか!」
雄二は亜紀に追い付き、思い切り背中を押した。
「キャアッッ!」
亜紀の叫び声は、雨の音に消された。
倒れている亜紀の傍まで行き、死を確認して急いで立ち去った。
亜紀のバッグから携帯が飛び出し、「ムーンライト・セレナーデ」が虚しく流れていた…
「ムーンライト・セレナーデ」を聴きながら、スヤスヤ寝ている栞を見ながら涼子は呟いた。
「亜紀がいつも聴いてたの、着信音もこの曲だったわ…
栞ちゃんも好きなのね。
もしかしたら、栞ちゃんは本当に亜紀の生まれ変わりじゃないの?」
傍で聞いていた雄二は顔色を変えた。
「いつまでも、亜紀、亜紀って…
もう、いい加減にしてくれ!栞は俺達の子供だ!」
あまりの剣幕に涼子はびっくりしたが、直ぐに謝った。
「ごめんなさい。
気を悪くしないで頂戴。
そうよね、栞は栞だもの。もう言わないわ…」
涼子に返事もせず、雄二は部屋を出た。
ベランダで煙草に火を点けて降りだした雨を見ていた。
2年前のあの日も雨が降っていた。
雄二は、遊びで付き合っていた奈緒美と別れる為に公園にいた。
そんな事とは知らない奈緒美は嬉しそうに走って来て雄二に抱きついた。
「雄ちゃん、こんな時間に呼び出したりしてどうしたの?
私は嬉しいけどさ!」
涼子には莫大な遺産が有るが、女としては奈緒美の方が魅力的だった。
今すぐ別れなくてもイイか…
いつも、そうだ。
何度も別れようとしたが、結局、言えないのだ。
奈緒美を抱き締めて、
「急に逢いたくなったんだ。」
口から出るのは、別れとは全く違う言葉だった。
亜紀は残業でいつもより帰りが遅くなってしまった。
近道をしようと公園へ入って行き、雄二と奈緒美を目撃してしまった。
「…何してるの?!」
思わず、叫んでしまった。
振り向いた雄二は、咄嗟に奈緒美を突き放した。
「あ、…亜紀ちゃん、違うんだ!誤解なんだ!」
踵を返して、亜紀は走って行った。
ポツポツ降りだした雨が、どんどん酷くなってきた。
歩道橋をかけ上がり、雄二を見下ろし叫んだ。
「姉さんを騙してたのね!絶対、許さない!
結婚なんてさせないから!」
そう言うと、雄二に背を向け歩道橋を降りようとした。
「…邪魔させるか!」
雄二は亜紀に追い付き、思い切り背中を押した。
「キャアッッ!」
亜紀の叫び声は、雨の音に消された。
倒れている亜紀の傍まで行き、死を確認して急いで立ち去った。
亜紀のバッグから携帯が飛び出し、「ムーンライト・セレナーデ」が虚しく流れていた…
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