オレンジの海
ここから見える夕日と、その夕日に染められたオレンジ色の空、そしてそれを鏡のように映し出す海は、二年前にアイツと見たときとなにも変わってなくて、とても綺麗だった。なぜ、二年たってまたここに来たのかわからない。頭のどこかでアイツとの思い出が消え去るのが怖かったのか……けれど、この先決して忘れる事はないだろう。あの苦しくて、悲しくて、どうしようもなく辛い思いを途方のない時間に感じたから…アイツが倒れてもう助からないと知ったときは、ただ愕然としていて信じられなかった。だけど、彼女が俺の手を握り返す力が日に日に弱くなっていくのに気付いて、リアルな現実が逃げていた俺を容赦なく叩きつけた。彼女に何もしてやれない自分の無力さに激しい怒りを覚えた。けどその怒りをぶつける場所はどこにもなくて自分で押し殺した。自分は彼女に何をしてあげれるだろうと考えていた時、彼女は海からの夕日が見たいと俺に頼んだ。俺がそんな事で良いのか?と聞くと、彼女は小さく頷いた。一人で歩けなくなるぐらい弱々しい彼女を車椅子に乗せて浜辺につくと、そこには、今まで見たこともないほど綺麗な景気が俺達の目に映し出された。オレンジ色の光が彼女の頬を照らし、綺麗…とつぶやく彼女を見てとても愛しく思った。彼女が俺を見て二人は見つめ合い、そっとキスをした。そして、それは彼女の温もりを感じる事のできる最後のキスだった。お前と出会ったこと、俺は後悔なんてしない。また生まれかわってもお前と出会いたい。お前という存在が俺の人生そのものだったから…。
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