携帯小説!(PC版)

トップページ >> ノンジャンル >> 日々が香ばしい3

日々が香ばしい3

[471] ともも 2012-11-26投稿
衝突することは必至だった。
「んぎゅ」
「うきゃ」

人影は肩口から俺の腹部にしがみつくように突進してきた。それはもう見事なタックルだった。
とんでもない衝撃が全身を襲い俺の体を難なく宙へと吹き飛ばす。あまりの威力に口から五臓六腑全部をぶちまけるかのように錯覚した。
永遠にも感じられた浮遊感の直後。仰向けのまま硬いアスファルトへと人影と一緒にダイビング。
「んごっ」
そしてそのまま背中を擦るように地面へ胴体着陸。凄まじい熱と痛みが背中を駆け巡る。いたい。一応体は動く。 体を起こそうとするが人が抱きついたままなので動けない。このいきなり人に突っ込んできた謎の人物は俺と一緒に倒れたままピクリともしない。
吹っ飛ばされたのは俺だし下敷きになったのも俺だからまさか死んだりしちゃいないだろうが。気絶しているのだろうか。怪我をしたのかもしれないし下手に動かせない。
頭を俺の腹にめり込ませるようにして抱きついているせいで顔は見えない。
頭越しに謎の人物を見ると体の線が細く、また髪が長い。たぶん女だ。そういえばなんか体つきが柔っこい気がする。
こんなシチュエーションで女性に抱きしめられてもまるで嬉しくない。

「ううっぐずん」

ずっと動かなかった謎の人物(謎子さんとしよう)は腹の上で呻き声をあげた。取り敢えず無事なようだ。ていうか泣いてる。涙か鼻水だかでシャツが湿ってきた。ええい気持ち悪い。「おいちょっとアンタ」
とりあえず俺の上からどいてもらおうと呼び掛けてみる。謎子さんはパッと面をあげると涙と鼻水で濡れた顔(顔立ちは整っている)で力一杯叫んだ。

「怖かったんだから!」
「……あの」
「すごく怖かったんだから!」

言うとまたおいおい泣いてしまう。ああ鼻水も拭かずに。俺はティッシュペーパーじゃないんだぞ
全く泣きたいのはこっちだよ。

感想

感想はありません。

「ともも」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス