日々が香ばしい6
「見ず知らずの赤の他人の荷物持ちとは、奇特な方ですねあなたは。」
二人並んで歩き始めて10分ほど経ち、それまでずっと無言で歩いていた謎子さんはふと思い付いたように話しかけてきた。
いきなりだったので少し面食らい、落ちそうになるオレンジを慌てて持ち直し答えた
「そういう性分なんだ。仕方ない。」
俺の返事にそうですかと真っ直ぐ前を向いたまま吐いて捨てる。
「私の方からぶつかったのに貴方は憤りもせずにいるし、よっぽどのお人好しかドMですね。」
「前者は認めてもいいが後者は断固抗議する。」
全国のドMには失礼だが俺は変態ではない。
「君は初対面の人によくそんなこと言えるね。」
「それほどでもないですよ。」
棒読みで言われた。駄目だ。皮肉が全く通じない。
そんなやり取りをしながらも足は道を歩いている。
いつの間にやら住宅地を抜け、国道から大きく外れた道を歩いている。
相変わらず太陽はギンギラギンで俺を背後から焼きつける。背中が痛いくらいに熱く、カチカチ山のタヌキの気分だ。
住宅地を抜けて少し経つ。周囲の景色からは家々がまばらになり、代わりに自然が目につくようになった。
ちょっと道を外れると雑木林や畑があり、地方都市ならではの町並みとなる。
この辺りは近くに駅はなく、一応市営のバスこそ通っているがそれも2時間に1本ほどだ。殆ど赤字運行である。つまるところ人が少ない。
随分前に一度この辺りを訪れたことがあるが、その時より増して過疎化が進んでいるようだった。
「辺鄙な所まで来たな。」
半ば独り言のようにして言ったが彼女はしっかりと答えてくれた。
「交通の便は悪いですが静かで私は気に入っています。」
「そっか。」
淡々とした物言いだったがそれが嘘ではないとなぜか確信した。
二人並んで歩き始めて10分ほど経ち、それまでずっと無言で歩いていた謎子さんはふと思い付いたように話しかけてきた。
いきなりだったので少し面食らい、落ちそうになるオレンジを慌てて持ち直し答えた
「そういう性分なんだ。仕方ない。」
俺の返事にそうですかと真っ直ぐ前を向いたまま吐いて捨てる。
「私の方からぶつかったのに貴方は憤りもせずにいるし、よっぽどのお人好しかドMですね。」
「前者は認めてもいいが後者は断固抗議する。」
全国のドMには失礼だが俺は変態ではない。
「君は初対面の人によくそんなこと言えるね。」
「それほどでもないですよ。」
棒読みで言われた。駄目だ。皮肉が全く通じない。
そんなやり取りをしながらも足は道を歩いている。
いつの間にやら住宅地を抜け、国道から大きく外れた道を歩いている。
相変わらず太陽はギンギラギンで俺を背後から焼きつける。背中が痛いくらいに熱く、カチカチ山のタヌキの気分だ。
住宅地を抜けて少し経つ。周囲の景色からは家々がまばらになり、代わりに自然が目につくようになった。
ちょっと道を外れると雑木林や畑があり、地方都市ならではの町並みとなる。
この辺りは近くに駅はなく、一応市営のバスこそ通っているがそれも2時間に1本ほどだ。殆ど赤字運行である。つまるところ人が少ない。
随分前に一度この辺りを訪れたことがあるが、その時より増して過疎化が進んでいるようだった。
「辺鄙な所まで来たな。」
半ば独り言のようにして言ったが彼女はしっかりと答えてくれた。
「交通の便は悪いですが静かで私は気に入っています。」
「そっか。」
淡々とした物言いだったがそれが嘘ではないとなぜか確信した。
感想
感想はありません。