女蝋蜘蛛の巣‐前編
俺には優しい妻の美代がいて可愛い娘の由美がいた。普通なら誰もが羨む人生だ。それなのに、それなのに…、今思い出しても悔しくて涙が出る。俺は二年前の冬に妻と娘を失った…。あんな家に住まなければ。あいつに全て奪われたのだ。生身の人間なら復讐はできるもののあいつは恐ろしい化け物だ。あの悪夢から毎日夢に現われ俺の生気を奪う……。二年前の秋頃に俺は借家に住むことにした。日は当たらず雰囲気は悪かったものの、ボロアパートの生活を考えれば決断することができた。広い割には家賃も格別に安かった。「あなた、ここ雰囲気暗くない?」妻の言葉はもっともだった。しかし、ボロアパートには戻りたくなく仕方なくそこに住んだ。玄関を開ける。かび臭い匂いが漂う。玄関からすぐ目の前に木造の急な階段がある。すぐ横には和室。「あそこに女の人がいるよ。」と由美が天井を指す。誰もいない。俺と美代は不思議そうに顔を見合わせる。とりあえずその日は家中をきれいにするのに専念した。その日の夜はみんなで和室に寝ることにした。なかなか寝付けなかった。廊下から物音がする…、泥棒?いや、階段を何回ものぼったりおりたりしている。ギィ‥ト…ギィ‥ト‥何回も‥
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