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お母さんのコサージュ

[561] ★るいちゃ☆ 2013-01-24投稿
ある日、小学四年生のなおみはお母さんと押し入れの整理をしていました。すると、きれいな花のコサージュが出てきました。「わぁ、きれいなコサージュ」
「きれいでしょ。これはね、お母さんの成人式の思い出なんだ。」
「そうなんだぁ〜ねぇ、どんな成人式だったの?」
「お母さんの家は大家族で母子家庭だったし、私が一番上だったから私も高校を卒業してからは働いて家計を助けなくてはならない貧乏な家庭だっていつもギリギリの生活で振り袖なんて買えなかったんだ。振り袖のちらしや、みんながきれいな振り袖を着てるのをみてるとうらやましかったなぁ…でも、弟や妹たちだっていろいろ我慢してるのに、私だけ振り袖を着て贅沢するわけにはいかいと思って振り袖のことは言い出せなかったんだ…そしてとうとう成人式の日が来てその日の朝、お母さんが「せっかくの成人式なのに振り袖をがまんさせてしまってごめんね。かわりになるかはわからないけど、このコサージュ、スーツにつけていきなさい」ってこれをくれたんだ。それと、髪の毛もお母さんが可愛くしてくれたんだよ。これがそのときの写真だよ」
「うわぁ〜お母さん可愛い」
「ありがとう。その日の夜はお母さんがちらし寿司を作ってくれて、妹や弟たちが手紙や折り紙で作ったプレゼントをくれて嬉しかったなぁ〜。その日は特別にってデザートも出てきて、弟や妹たちが、「お姉ちゃんのお祝いに自分のぶんのデザートわけてあげる」って私にわけてくれたんだ。振り袖はなくてもすごく幸せな成人式だったよ。」
「暖かい成人式だったんだね。いい話を聞かせてくれてありがとう」
成人式は可愛い振り袖を着るものとばかり思ってたなおみだったけど、この家には振り袖よりもきれいな思い出のつまった素敵なコサージュがあることを知った二分の一成人した10歳のなおみの1日でした。

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