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それは私だけが知り得たもの

[733]  紅乃  2006-09-20投稿
ねぇ、あなたは人が死ぬとどうなると思う?
幽霊になるのかな?
地獄にいくのかな?
それとも天国にいくのかな?
わからないよね。だから私、試してみようと思うの。なぜってね、私は末期ガン。あと半年しか生きられないんだって。そう言われてもう半年がたとうとしてる。あと一週間。あと一週間で私の命の炎は消えてしまう。最近は吐血がひどくなってきて。あらためて時間の短さを感じる。どうせ苦しむなら、楽に死にたいな。考えたすえ、私は屋上から飛び下りることにしたの。だって病院ではそれ以外死ぬ方法がないんだもの。


今、屋上への階段を上るね。一歩一歩慎重に。あぁ、私の吐血のせいで階段が紅く染まる。今は四階。あと少しで屋上…心臓がバクバクいってる。体中にうきでる冷や汗。これを恐怖っていうのかな?たしかに怖いよ。でもなにかが私の足を動かすの。心の中の何かが。これは好奇心?そうなのかも知れない…屋上についたよ。


フェンスの向こうへ…じゃあいくね。私という犠牲のもとにあなた達が死後というあらたな知識をもつのだから。じゃあ、1、2の3でとぶね。地面にぶつかるまで鮮明にレポートしてあげる…じゃあ…
1、2の3…





なんだか空を飛んでいる気分。風が気持ちいい。地面とともに死も近付いてくる。死が近付いてくる前に恐怖が好奇心を上回っちゃったみたい。怖い怖い怖い怖い…でも…レポートは続けるね。人類の進歩のためだもの。地面まであと6メートル…5…4…3…あっ…大切なことを忘れてた…死者は生者に何かを伝える手段をもっていないわ…あぁ、地面がせまる。


鈍い音がした。頭から足にむかって痺れるような痛みがはしる。まわりは紅に染まる。誰かの悲鳴が聞こえる。でもぼーっとした私の頭にその悲鳴はとどかない。誰かに伝えなきゃ…あぁ…でもそこまで時間がないみたい。続きはあなたが試してみて。それはあなただけが知り得る知識となるのだから…

感想

  • 3751: 死への恐怖で狂ってしまった少女のお話です。死は怖いとはいえどこれではあほですね。そういう判断力が欠けてしまったと考えてください…(-_-;)批評感想など遠慮なく送ってください。よろしくおねがいします。―紅乃 [2011-01-16]
  • 3754: 死についての小説はどこまで主観を取り入れていいか、漠然と思いました.粗雑で申し訳ないです.-leaves [2011-01-16]
  • 9642: すごくゾッとしました;ホラー上手ですね(((・・;) [2011-01-16]

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