携帯小説!(PC版)

トップページ >> ノンジャンル >> オバケ10

オバケ10

[331]  はこもの  2006-09-20投稿
冷たくて、残酷で、不吉な予感に満ちた黒いかたまり。銃だ。

オバケはそれを見せてくれた。

「どう思う?」

「どこで手に入れたんだ?」僕は聞いた。

「俺は今ここで、簡単にあんたを殺す事ができる」彼は僕の質問には答えず、話した。「そうだろ?引き金を引けばいいだけだ」

不思議な事に全く恐くはなかった。

「でも、俺は引き金は絶対に引かない。何も銃に限った事じゃない。全部さ。物事っていうのは、常に何かが蓄積してってるんだ。それで、最後に誰かが引き金を引いちまう。ボカン。そうすると全てそいつの責任さ。善い事も悪い事もね」

引き金を引かない?何だか疲れそうだな、と思った。

「そろそろ帰るよ」僕は言った。「また明日、居酒屋でね」

「ああ」僕の方を見ずに言った。

オバケのアパートから僕のアパートまでは以外と近かった。歩いて10分とちょっと。

夜なのに、空に浮かぶ雲がやたらはっきりと見えた。満月のせいだ。

雲は満月を隠した。でも満月からしてみたら、雲は僕を隠したわけだ。

どうでもいい。

目の前にドアが現れた。家に着いた。

感想

  • 3752: 前に感想を書かせてもらった、けんです。どこに向かうかわからない感じが好きです。 [2011-01-16]
  • 3753: けんさん、ありがとうございます。実は、私自身この文章がどこに向かってるかわかってません(笑) [2011-01-16]
  • 3755: ↑はこもの [2011-01-16]
  • 3769: はじめまして!今日初めてはこものさんの作品を読ませていただいた者ですが、凄くイイと思いました!文章がカッコつけてないのにカッコイイですし、何気ない一言や心理描写にかなり心を打たれます(^-^) [2011-01-16]
  • 3772: ありがとうございます。自分の文章で、誰かの心を打つ事ができるなんて思ってなかったので、かなり嬉しいです。 [2011-01-16]
  • 3773: ↑はこもの [2011-01-16]

「 はこもの 」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス